食肉衛生検査所の仕事
平成13年9月、国内で初めて牛海綿状脳症(BSE)が発生し、平成13年10月18日から食肉衛生検査所で全頭検査が始まりましたが、国内での発生から10年以上が経過し、平成25年5月28日に国際獣疫事務局(OIE)より「無視できるリスク」(最上位の評価)の国の認定を受けました。平成25年7月1日からBSE検査は48か月齢超の牛を対象として実施されています。
また近年、農薬や抗菌性物質の残留問題、腸管出血性大腸菌O157による食中毒の発生など、食を取りまく環境は大きく変化しています。このような状況に的確に対応し、より安全で衛生的な食肉を生産・流通させるため、食肉衛生検査所ではさまざまな業務を行っています。
仕事その1 食肉の衛生検査
食肉の安全性を確保するための重要な業務です。次の3つの柱からなっています。
1 とちく検査
獣医師であるとちく検査員が、牛や豚などについて1頭ごとに検査し、食用に適さないものを排除します。
また、通常の検査で判断の難しいものについては、試験検査室で精密検査を実施します。
2 残留有害物質検査
食肉中には有害な化学物質(家畜の病気の治療などに使われる抗菌性物質、飼料に残っている農薬など)が残留している可能性があります。
そこで定期的にモニタリング検査を行ったり、病気や治療した痕跡のある家畜については残留検査を実施しています。
3 微生物汚染の防止
食肉が生産され、消費者に届くまでには、生体、枝肉、部分肉、精肉などの段階を経ます。
枝肉が微生物に汚染されていると、加工のたびに汚染が拡大して衛生的な食肉の供給は望めなくなります。
そこで、腸管出血性大腸菌O157やサルモネラなどについて検査を行い、食肉の微生物汚染防止に努めています。
仕事その2 衛生対策と衛生指導
とちく場の管理者に対して衛生的な施設への改善指導を行ったり、とちく作業従事者に対する衛生指導、枝肉の衛生的な取り扱いや保管の監視指導を行ったりして、食肉の安全性確保に努めています。
また、とちく場に附帯する施設に対しても、衛生監視指導を行っています。
仕事その3 検査データの還元
生産者や家畜保健衛生所に、検査結果データを還元しています。
これらは健康な家畜を生産するための資料として利用されています。
仕事その4 調査研究
日々の検査のなかで生じるテーマについて調査研究を行っています。
得られた結果は学会などを通じて公表しています。また、各種研修会や学会などにも積極的に参加し、知識や情報の収集、検査技術の向上に努めています。