尻 尾 の 話 by三重県の草苅正雄
と畜検査をしていると、時々、牛には長い尻尾(あえて尻尾と言います)があり、豚にはかわいい尻尾があることが不思議に思えてくる。尻尾は何のためにあるのだろうか。人間には尻尾がないのはなぜだろうか。 そもそも尻尾とはどのようなものであろうか。
尻尾とは書物によると、動物の体の後端付近に細長く突き出たものを指し、後肢の付け根に肛門がありその後端部には単純な構造を持つものが尻尾である。尻尾はサイン・バランス・移動・掴むなどに使われる。しかしながら動物によっては尻尾が無いものもある。
尻尾の役割は、ライオンやチーターなどの動物では、疾走するときのバランスを取ったり方向舵の働きがあるといわれている。リスなども樹上でバランスを取ったり、体を支えたりとの役割があるといわれている。また、樹上生活をするクモザルなどの尻尾は、木の枝に巻き付けて体を支える手足のような役割もある。犬では怒りや恐怖あるいは喜びなどを尻尾で表現している。
鳥類では、尻尾に見える部分は羽毛が大部分であり、普通は尾羽を含めて尻尾と呼んでいる。始祖鳥と比べると現在の鳥は、尻尾は短くなっているが短い尻尾に長い羽毛が生え、見た目は長く感じる。鳥が飛んでいるときに尻尾を広げたり形を変えたりして方向を変えている。
は虫類では、トカゲ類の仲間には危険を感じると自ら尻尾を切断し、その後再生させるものもいる。ワニは尻尾の強力な力で敵を攻撃をする道具として利用している。
魚類の尻尾は泳ぐための推進力を担っている。魚類の尻尾は左右に振るのに対してほ乳類であるクジラやイルカでは尻尾の形状の違いにより上下に振り前へ進む。
なぜ人間には尻尾がないのだろうか。人間にも胎児の一時期に尻尾を持っていたが、胎児が成長するにつれてだんだん小さなり無くなったようだ。希に尻尾を持って生まれる子供もいるようである。人間では外見上尻尾がないが、それに当たる部分として尾てい骨が存在している。人間における尻尾の退化は直立姿勢を取り、二足歩行をして草原を走り回る生活をしたことから、尻尾の利用価値がなくなったためとする説がある。
牛では、尻尾の先端が毛の房のようになっており、アブなどの昆虫が吸血するときに尻尾を振り回して追い払う効果があるとされている。 こうしてみると豚の尻尾はどんな役目があるのだろうか。あの可愛い尻尾は何の為にあるのだろうか。いろいろと考えると寝られなくなり、寝不足になると仕事に支障をきたすので考えないことにしよう。