現在位置:
  1. トップページ >
  2. 観光・産業・しごと >
  3. 農山漁村 >
  4. 農山漁村振興 >
  5. 心豊かな里づくり >
  6. 研修会等 >
  7.  前田洋氏(羽根村づくり実行組合組合長)
担当所属:
  1.  県庁の組織一覧  >
  2.  農林水産部  >
  3. 農山漁村づくり課
  • facebook
  • facebook share
  • twitter
  • google plus
  • line

三重のふるさと

前田洋氏(羽根村づくり実行組合組合長)

戻る

11月1日をもちまして、伊賀市ということで合併しました。旧上野市に在住しておりまして、上野の白鳳城というお城がありまして、そこから北東に約2kmのところに住んでおります、羽根村というのは、静かな田園地帯で穏やかな環境に恵まれていますが、町には非常に近い田舎で、2kmで町に到達します。昭和23から梨を栽培しており、現在まで続いています。23年というと、一昔前です。初代の方は、この世にはいない。生産者も高齢化が進んでまいりました。現在、後継者も復活の兆しがあります。

村づくり実行組合の立ち上げにつきましては、その時点では、高齢化が進み、梨の生産も年々低下し、年寄りばかりが毎日ゲートボールにあけくれるという時期がありました。そういう人達にお手伝いしてもらいながら、なんとか、今まで活性化された農家経済を盛り上げる手立てがないものかと考えたものが、農村市場(直売所)の開設です。お年寄りが相手ですから、大きなことはできません。家庭菜園から始めようということで、皆さんにいろいろ相談しながら取り組みました。一番大事にしたことは、やはり、羽根地区の自治会や、すべての団体をまきこまないと、将来的には継続するのは難しいということで、自治会を中心に各種団体に呼びかけました。その中には、梨組合、老人クラブ、土地改良区もお入りいただき、地区のすべての団体に入っていただいての立ち上げでした。生活環境の整備・改善、伝統行事やレクリエーション、スポーツなど住民の融和を目指すことを目標に立ち上げました。平成7年8月、まず、物をつくったら販売しなければならないということで、対面販売するという経験が全く無い中で始めた。最初は当番制で始めましたが、子ども達がままごとをしているような幼い行いだった。対面販売は始めての経験ですから、直販するために、お客さんとの取引を勉強した。最初は、計算が合わないなど苦労をしましたが、1年練習をして、新しい直売所の建設に入り、平成8年の8月に念願の農村市場ができた。中山間地域支援事業の支援をいただきながら、立ち上げた。立派な店ができた。これからしっかり売ろうということでやりましたが、そのときに、私達の地域から西に800m先に大きなスーパーができた。それができたおかげで、店の前を素通りして客がこない。借金で建てたのに困ったなということで、役員会等を度々開催し打開策を練りました。

その時点で気が付いたのが、確か農水省の新聞発表で「これからの時代は環境保全型農業を」という記事を拝読して、無農薬栽培を、いち早く立ち上げることで、スーパーの客が戻るのではないかと、資料を取り寄せながら、勉強を始めた。文明の力、インターネットを使って資料集めが楽になりましたし、資材は外国からも取り寄せました。無農薬栽培は日本が遅れていて、ヨーロッパが先進国です。私たちなりに取組を始めた。1年間の経験をしながら、なんとかできるのではないかというところまでこじつけて、無農薬研究会という一つの部会を立ち上げました。完全な無農薬栽培の方向で取り組んだ。最初は苦労しました。消毒ができないので、害虫駆除ができない。経験上で気づいたのが、まずは土づくりの大切さに気づいた。研究会で、土に力を注ぐようになった。資材は一括購入しました。使用量は研究会で統一し、商品の良質化を目的に取り組みました。又、平成10年度に無農薬栽培の実行部会を立ち上げ、スーパーに真似のできない、安全安心で話題の店、それを目標に取り組み、今までの方法から脱皮することができました。資材を使ったという話をしましたが、有機栽培の中で大事なことは、地域全体で取り組むことを忘れてはいけない。害虫を駆除する場合に、フェロモントラップでハスモンヨトウのオスを捕獲していますが、これは5年間続けています。私達の地域から、ハスモンヨトウ、コナガが減りました。一番効果があったのではないかと、考えています。肥料ですが、自信をもって発表できるのは、ぼかし肥(EM菌を使って完全に発酵したもの)です。皆んなで使って、品質の安定に努めています。

農村市場で、いろいろ販売してきましたが、お客さんは確かに増えましたが、倍々には増えません。宣伝力がありませんし、資金力もありませんから。地道に安全な商品を売ってお客さんの口コミを期待しないと手立てがない。努力して販売しても、店で売れ残る商品もあります。有効利用できないかと気づいたことが、残りものを漬物にして売ったらどうかということで、会員さんに呼びかけて農産加工部会を設立しました。小さな部会で、4~5名でやろうということで、取り組みました。何を漬けようかと、部会で検討したが、ヒノナ漬、かぶら漬など。羽根村で作った漬物だから、はねちゃん漬けと名づけ、無農薬、無添加の商品ですので、関心のある方が買ってくださるようになりました。ヒノナは伊賀の特産でして、Eマークの認証をいただいた。より安全だと訴えながら販売しております。現在では、お歳暮商品として多くの注文を戴いています。

PR方法ですが広告を出すと費用がかかりますので、いろいろな商品開発などの取り組みについて、報道者の方が新聞記事にしやすいように、文章をまとめて提供するなど、新聞で取り上げてもらえるよう工夫しています。

こだわりの店として考えるのなら、伊賀地方で栽培されていないような野菜、一般スーパーにないようなものを導入することを考えました。新しいホウレンソウ(軸が赤いホウレンソウ)なども、いち早く取り入れて作るように努力して、こだわった店だと印象付けるよう心がけています。店については、お客さんに自信をもって、この野菜の栽培歴はこれですよ。こうして食べるとおいしいですよ。そういうことを教えられることが最高のおもてなしだと思っている。当番の人には、かなりうるさくお願いしています。日曜日には、組合員が当番をします。お客さんは神さんです、ということを教えているが、高齢者なので、すぐ忘れてしまうのが悩みです。

来店者には、会員カードを発行しています。1,000円以上で1個スタンプを押し、10万円で1,000円の商品券を発行します。(農村市場のみでの使用可能)買い物するだけでは発行しません。環境保全型農業に取り組んでいる関係で、買い物袋を持参の方にだけ、スタンプを押しています。現況の取り組みとして、一番、今、大事にすすめているのは、とれたて野菜のおまかせセット。都会の人を対象として契約をとっています。お客さんが増えてきており、これからも増やして行きたいと思っています。今まではお客さんが、商品を見て選んでいましたが、最近では誰が作ったのかな、名前を見て買う。安心な商品を食べたいということで、どういう栽培経歴をもって生産されたか、興味を持っていて、誰の野菜と指定してくる。米もそうです。栽培方式は各々異なった形で取り組んでいますが、こだわった方の商品が売れている。味を見ておいしいと買ってくれので、組合員は誰に負けじと、努力しています。努力していない人の商品は買ってくれない。安全で美味しい物を作らなければいけないということが実証されたわけです。

今おもしろいやり方をやっているのが、オーナー制度を取り入れています。梨の1本の木を2月か3月に渡してしまいます。1本3万円。どうぞ作ってください、肥培管理と消毒だけ我々がしますが、剪定や摘果、収穫はやってもらう。甘藷についても、その方式でやっています。サツマイモを作りたい人を募集し、申し込んだ人に畑を用意し、挿したらいいところまではこちらがやります。サツマイモは自分達で挿してもらいます。途中の管理、収穫もしてもらう。大変好評です。畑さえあればできますので。これからは増えるのではないかと思います。

今は、農村市場で企画商品化したものを並べて販売していますが、これからは商品にしないで、お客様に大根なら畑でひいてもらう。即ち、自分で収穫して持って帰ってもらう、収穫体験を取り入れたい。手間が助かりますから。どんなところで作っているのか勉強しながら、ここで作っているのなら安心だなという思いをお客さんに持ってもらわないと、固定客というはできませんから、これからはそういう方策を取り入れたい。必ずや口コミで拡大すると確信します。又、

イベントへ積極的に出店していくのも、一つのPRだと思っています。昨年と今年は、芭蕉の360年のイベントが展開されましたから、出店しながら、安心安全な野菜を販売してきました。

私たちの力では限界があるということで、いろんな団体との連携をとっています。サンピア伊賀という厚生年金施設からの支援もいただいています。チラシをサンピア伊賀にも置いて、こういう店もありますよと、PRしている。サンピアから送迎サービスもあります。今、県行政の補助事業の一つで地域観光連携支援システム事業というのがあって、地域を活性化するための取組を活発化するため観光協会と共に進めてきました。いろいろ、地域のイベントの際は、観光協会も巻き込んだ中で開催します。団体と連携を密にした取り組みが大事だということで、伊賀地方では、農村市場のような取組を青空市場と呼び、青空市場は今17ありますが、連絡協議会(正式な名称:青空ネット伊賀(伊賀青空市推進会議))を作って、その仲間で問題が出てきたら、話し合いながら解決するなど、話し合いの場を作っています。その関係が非常に大事だと思います。

これからは、地域観光、農業観光という部分でも力を入れて行きたい。私、伊賀上野の観光協会の会員であり、いろいろ取り組んでいます。今の観光施設というと、忍者屋敷、芭蕉さんとか、伊賀を代表する観光施設は、数多くありますが、地域にもっと広げていかないと、地域の人に認識されないと、観光事業として応援してもらえないと考えます。今、観光事業の一つとして、農山村地域に目を向けたグリーンツーリズムを広げて行きたい。羽根村は観光協会の一員でもありますし、協働体として目的達成のため努力したいと考えています。

今まさに、成果という面で考えますと、8月~9月は、梨のお客様が多く、こんな所に野菜が売っているの、又、野菜を販売しながら、もうじき梨の季節ですよ、今年は何日から販売しますよ。情報発信の場でもあり相乗効果がでております。また、羽根村づくり実行組合では、高齢化が進み、60歳が若手です。先を考えると不安な気もしますが、梨を柱としての村づくりを考える中で、若い方の後継者が徐々に見られるようになってきたのがうれしい。梨の後継者が4名増えたということは、のちのち、農村市場で活躍していただけるのではないかと期待しております。その中の一人が私の息子です。また、売り上げの面でも、徐々に売り上げが増えて来て、多い人は200万円くらい。お年寄りの口座預金が増える。お金が増えると、欲が出てくる。自分のものがもっと売れないかと自己中心型になります。今までは女性・高齢者の活躍できる場が、全然なかった。村づくりを立ち上げてから、高齢者が元気になった。ボケもなくなった。草だらけの畑が減ってきた。こまめに草をひいて作ってくれる。しかし、年々高齢化が進み体力も衰え、自然と生産力も低下してくるので、近隣に呼びかけて、参画してもらうということを考えている。安定した店づくりのために、そのことを一番強く考えています。

店に来ていただくと気づいていただけると思いますが、たくさんチラシを張ってあります。私たちの考え方、こういう取り組みをしています、などなど、私たちの心をお客さんに分かってもらうための、一つの手立てだと思っています。

私たち、年に一度力を入れているのが、イベント、収穫祭です、今年で4回目です。これも先ほど申しました、地域観光連携システム事業との連携事業で観光協会の支援を受けながらやっています。「見て、食べて、体験して、発見して、感動して、豊かになろう」がスローガン。思いを込めてやりました。伊賀ブランドという組織の仲間で13店舗が出店していただきました。サルビノ温泉、芭蕉の湯、足湯の出店もありました。また、観光協会がシャトルバスサービスを運行したり、白鳳公園での観光客に呼びかけて、お客さんに来てもらいました。有機野菜と語ろうということで、私たちの取り組みを、口でしゃべるよりも、こういう形でやっていますと説明を加えながら理解してもらうことが一番だろうと、有機見学ツアーを募集しました。今年の失敗は、80名を一度にやったので人数が多過ぎると怒られました。20名単位でこなさないとだめだと思いました。今年の特徴は、羽根村の組合員だけではなく、各種団体にも協力していただき、地区外のボランティアの方々にも参加していただいたことです。又、羽根村の非農家の人達に協力戴いた事がこれからの村づくり活動の発展に大きく影響する事と思います。

戻る

本ページに関する問い合わせ先

三重県 農林水産部 農山漁村づくり課 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁6階)
電話番号:059-224-2551 
ファクス番号:059-224-3153 
メールアドレス:nozukuri@pref.mie.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

ページID:000031655