現在位置:
  1. トップページ >
  2. 観光・産業・しごと >
  3. 農業 >
  4. 農産園芸 >
  5.  >
  6. 技術情報 >
  7.  一番茶摘採後~二番茶萌芽期前後の病害虫防除
担当所属:
  1.  県庁の組織一覧  >
  2.  農林水産部  >
  3. 中央農業改良普及センター  >
  4.  専門技術室(茶普及課) 
  • facebook
  • facebook share
  • twitter
  • google plus
  • line
平成21年02月10日

4.一番茶摘採後~二番茶萌芽期前後の病害虫(ハマキ、ハダニ、ナガサビダニ、スリップス)防除

対象となる病害虫

○ハマキ(チャノコカクモンハマキ)
◎ハダニ(カンザワハダニ)
○ サビダニ(チャノナガサビダニ)
○スリップス(チャノキイロアザミウマ)
(記号の意味◎:重要病害虫、○:注意が必要な病害虫、△:発生に応じて対応)

意義

二番茶芽が出てくるまでの時点で、その親葉となる一番茶残葉や萌芽前の腋芽を加害する病害虫から守り、二番茶芽の収量・品質を確保するために防除を行います。

ハマキは一番茶残葉や古葉を上下につづって表皮を残して食害し、新芽があると葉を縦にとじることから、減収につながり、新芽の被害により品質も低下するので防除します。園1平方メートルあたりつづり葉が8枚以上あれば経済的被害が出るといわれています。

ハダニはあらゆるステージの葉を吸汁加害し、収量・品質に影響を与えますが、比較的降雨が少なく気温も上昇してくるこの時期はハダニの発生には好適条件となります。また、ハダニの天敵が活動し始める時期は通常梅雨時期に入ってからとなるため、それまでのつなぎとして、この時期の両者の発生状況を確認しながら、二番茶の被害を出さないよう、引き続き要注意です。

サビダニは主に一番茶摘採残葉の葉裏を加害し、被害葉が茶褐色となり、ひどい場合は落葉します。サビダニそのものは肉眼では確認しにくいほど小さいため、被害が発現してから気がつく場合が多いため、早くから予察情報等に注意しておきましょう。

スリップスが早くから多発して、二番茶新芽萌芽から1葉期に吸汁加害されると芽の伸長が止まり、ひどい場合は褐変枯死する場合もあります。二番茶の減収と品質低下につながるため、早い時期から発生量に注意しましょう。

防除時期の考え方

ハマキを防除する際には、フェロモントラップの誘殺ピークから約14日後が防除適期となります。また、ハダニ等その他の害虫については発生量や天候を勘案して、今回防除するか次回に行うかを見極めることが必要です。

防除要否判断の目安

ハマキは、大まかな目安ですがフェロモントラップ(ファネル型)に1週間あたり200頭入れば被害が目立ってくることがあります。発生が少ない茶園では防除の必要はないでしょう。また、ハダニ類は最も発生しやすい時期でもあり、二番茶での被害を出さないために、基本的には要防除と考え、調査してもほとんど見つからない状態であれば、次回まで様子を見ることも可能でしょう。

一方、ハダニの天敵であるケナガカブリダニは5月下旬から活動を始めますが、乾燥している年はあまり増加しないので注意が必要です。

資材および方法

ハダニの防除を中心に考えた場合、その他の害虫の発生状況に応じて、ハダニとハマキの同時防除、あるいはハダニとスリップスの同時防除が想定できます。各害虫に対する薬剤の効果を十分に考慮して、薬剤を選定しましょう。また、ダニの薬剤は一番茶防除の時と同じ薬剤にならないよう注意して防除しましょう。

<カイガラ(クワシロカイガラムシ)が発生している場合>

近年カイガラの発生が目立つ茶園が多く、多発すると新芽の伸びが悪くなったり、落葉が激しくなり最後は枝が枯死します。

通常茶園は葉層におおわれており、カイガラの増殖はその内部で進行するため気付くのが遅れ、被害が出てから気付くことも多くあります。

また、防除の際にも葉層内部まで薬剤が到達しにくく、さらには、防除適期が幼虫孵化直後のみという適期幅の狭さが防除を困難にしているともいえるでしょう。

しかし、薬剤に対しては比較的弱く、孵化直後に水をかけただけでも一定の効果が得られることもあり、正確な防除適期に薬剤を確実に寄生部位に散布ができれば、確実に防除できるとも考えられます。

防除時期の考え方

カイガラが発生は、白い綿状のもの(雄まゆ)を発見して発生に気付くことが多いですが、これらが目立っている時期が防除時期ではありません。その後に残る白い貝殻状のもの(雌成虫)がそのまま枝に寄生し、次世代の卵を貝殻下に産下します。それがふ化すると幼虫は貝殻から出てくるのでその時期が防除時期です。しかし、その後幼虫は枝の別の場所に定着し、定着後はロウ物質を出して繭や貝殻を形成し、防除効果は著しく落ちるので、ふ化ピーク~幼虫歩行期~幼虫定着までが一番の適期となります

また、茶園におけるカイガラの圃場抵抗性には明らかな品種間差があることが分かっており、「さやまかおり」、「みなみさやか」といった抵抗性品種では、防除の必要性は低いでしょう。


表2品種別クワシロカイガラ抵抗性(2001古野らの表を改編)

品種名
抵抗性品種 さやまかおり、みなみさやか、はつもみじ、うんかい
あさつゆ、みねかおり、ろくろう
べにほまれ、おくむさし、べにひかり、さえみどり
やぶきた、べにふじ、かなやみどりおくみどり、おくゆたか、めいりょく、しゅんめい、みなみかおり、ふうしゅん、ゆたかみどり、やまかい
感受性品種 ふくみどり、ほくめい、べにふうき、むさしかおり、おおいわせ

斜字の品種は本県で栽培されている主な品種。


防除要否判断の目安

通常、この時期は幼虫孵化時期の幅が小さく、しかも一斉に孵化するので、適期がわかりやすく防除しやすいのですが、葉層が十分あり薬剤がかかりにくいため、先に述べた茶園の更新と併用して防除するとさらに効果的です。

しかし、更新計画とカイガラ発生茶園が一致しないことも多いため、発生程度を勘案して、
(1)発生が甚大で緊急に防除を要する場合はこの時期に更新と併用し、
(2)発生程度がそれほどでない場合
は次世代幼虫発生期(7月中~下旬:二番茶後)に浅刈りせん枝と併用して実施するようにしましょう。

資材および方法

適期に幼虫にかかれば、薬剤には弱いので、下表を参考に薬剤を選択し、整せん枝(茶園の更新)と併用して防除しましょう。また、葉層がある場合は枝・幹へ薬剤を到達させるために1000リットル/10a程度散布が必要ですが、中切り更新と併用すれば500~600リットル/10a程度でも十分でしょう。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 中央農業改良普及センター 専門技術室(茶普及課) 〒515-2316 
松阪市嬉野川北町530
電話番号:0598-42-6707 
ファクス番号:0598-42-7762 
メールアドレス:fukyuc@pref.mie.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

ページID:000052672