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保環研年報 第17号(2015)

 

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三重県保健環境研究所年報 第17号(通巻第60号)(2015)を発行しましたのでその概要をご紹介します。

 

各研究報告(原著、ノートおよび資料)の全文(PDF形式)をご希望の方は、こちらからダウンロードできます。

 

 

 

 

研究報告

原 著

  ・2015rep1 インフルエンザ非流行期に高齢者福祉施設内における集団感染事例から検出されたAH3亜型インフルエンザウイルスのウイルス学的解析-三重県(2014年) 

     矢野拓弥,原 有紀,植嶋一宗,中山 治,赤地重宏,小林隆司,西中隆道

     キーワード:高齢者福祉施設,AH3亜型インフルエンザウイルス,遺伝子系統樹解析,非流行期,集団感染 

  2014年8月に三重県内の高齢者福祉施設で呼吸器症状を呈する患者(28名)が発生した.これらの患者のうち3名の検査を実施したところ,患者2名からAH3亜型インフルエンザウイルス(AH3亜型ウイルス)が分離された.これらのAH3亜型ウイルスについてヘマグルチニン(Hemagglutinin:HA)遺伝子系統樹解析を実施した.本ウイルスは2014/15シーズンのワクチン株(A/H3N2;A/New York/39/2012)と同じVictoria/208クレードに属していたが,サブクレードはワクチン株とは異なる3C.2aに属していることが判明した.
    また,赤血球凝集抑制(Hemagglutinationinhibition:HI)試験による抗原解析においてもワクチン株(A/H3N2;A/New York/39/2012)と比較して抗原性の乖離が認められた.抗原性の変化を早期に察知するためには,インフルエンザウイルスの非流行期を含めた通年における継続的な動向監視を行うことが重要である.また抗原性の変化を迅速に情報提供していくことは公衆衛生の向上に有用であり,感染拡大防止対策に寄与するものと考えられる.

 

ノート

  ・2015rep2 三重県における麻しんの血清疫学(2010~2014年)  

      矢野拓弥,松野由香里,赤地重宏,小林隆司,西中隆道        

      キーワード:麻しん,麻しん抗体保有率,麻しん幾何平均抗体価,輸入麻しん, 修飾麻しん

  近年の麻しん予防接種施策の成果により,国内の土着株である麻しん(D5型)は「排除状態」にあることが世界保健機関(WHO)に認定された.一方で国外からの輸入麻しんによる国内発症例および高次感染例が報告されている.そこで,今後の輸入麻しん発生に備え,本県民の麻しんに対する免疫状況を事前把握する目的で抗体保有状況を調査した.対象は感染症流行予測調査事業において過去5年間(2010~2014年)の県内医療機関受診者等から採血された1585名の血清検体を調査対象とし,麻しん粒子凝集反応(Particle Agglutination:PA)法による抗体価測定を行った.麻しんの発症予防には128倍以上のPA 抗体価が必要と考えられており,本調査の協力者のうち128倍未満の者は292名(18.4%)を占めた.これらの麻しんに対する感染リスクの高い感受性者の存在が将来的な麻しん流行を引き起こす要因となることが懸念される.今後の輸入麻しんによる国内流行を防ぐためには,麻しんワクチン未接種者および128倍未満の抗体価の低い感受性者の蓄積を回避する対策が重要であると考えられた.

  2015rep3 三重県における食品中の放射能物質検査について(2011年度~2013年度) 

      一色 博,吉村英基,山本昌宏

     キーワード:放射能セシウム,牛肉,稲わら,S-60容器

  東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する放射性物質の放出により,当該発電所周辺環境から多くの放射性物質が検出され,県内にも汚染した稲わらが飼料として搬入されたことが明らかとなった.当所において,汚染した稲わらおよび給餌した牛の肉について,放射性ヨウ素(I-131)および放射性セシウム( Cs -134 ,Cs -137 )の測定を実施したところ,稲わらから高濃度の放射性セシウムを検出した.2012年度および2013年度には,同法に基づく収去検査を実施しているが,すべての検体において基準値の超過は無く,ほとんどが検出下限値未満であった.また,収去検査の迅速化を図るため,容量400mLのS-60容器による測定を検討した. 

   2015rep4 無承認無許可医薬品等の一斉分析法の検討   

     竹内 浩,林 克弘,山本昌宏

    キーワード:無承認許可医薬品,健康食品,HPLC,LC/MS/MS,GC/MS,一斉分析

 健康食品中の強壮用・痩身用医薬品等や保存料・甘味等の添加物合計57成分について,PDA-HPLC,LC/MS/MSおよびGC/MSを用いた一斉分析法を検討した.標準溶液において,PDA-HPLCで56成分,LC/MS/MSで51成分,GC/MSで26成分測定可能な分析条件を定めた.錠剤,液剤および植物片を用いた添加回収実験では,PDA-HPLCで56成分中それぞれ52,53,34成分が,LC/MS/MSで51成分中それぞれ51,49,51成分が回収率70~120%を満たした.GC/MSでは,マトリックス効果により定量が困難であったが,スクリーニングおよび定性に十分使用できることが確認できた.この方法を用いて,流通実態調査を行った結果,検査項目の医薬品成分は検出されなかった.

  2015rep5 伊勢湾における貧酸素水塊発生時の植物プランクトン種および各種環境要因への湾内流の影響について

        天野晴貴,足立敦子,新家淳治,国分秀樹,竹之内健介,小林利行

    キーワード:伊勢湾,貧酸素水塊,植物プランクトン種,栄養塩類,エスチュアリー循環

    伊勢湾内で発生する貧酸素水塊上層に外洋水が進入していることを調べるため,湾奥,湾央および湾口の表層および中層の植物プランクトン種の調査を実施した.その結果,同時期に湾央中層水と湾口水の両方に同種の植物プランクトン種が認められた.このことから,外洋水の中層進入の可能性が考えられる.また,エスチュアリー循環流および河川の流入が植物プランクトン数の増減に影響したと考えられる.更に,栄養塩類等の調査結果から,河川流入およびそれに伴うエスチュアリー循環流による底層からの輸送によって増加した栄養塩により,植物プランクトンが生産され,それに続く食物連鎖により湾内の物質循環が促され,湾内への有機物の蓄積を防ぐことに繋がると考えられる.

  2015rep6 工場排水等の六価クロム測定手法の確立に関する研究  

    柘植 亮,齋藤麻衣,新家淳治

    キーワード:六価クロム,ジフェニルカルバジド吸光光度法,測定妨害物質,還元性物質,鉄共沈,工場排水

  工場排水中の六価クロムを測定する場合,公定法による通常の操作{ジフェニルカルバジド吸光光度法(以下「吸光光度法」と呼ぶ.)}では,測定が困難な場合(測定妨害物質が存在する場合)の対処方法として,試料に鉄を添加して三価クロムのみを沈殿・除去し,その後全クロムの方法で測定することで六価クロム濃度とする方法(以下,「鉄共沈操作」と呼ぶ.)および排水中の還元性又は酸化性物質による妨害の除去操作(以下,「妨害物質除去操作」と呼ぶ.)後に六価クロムを測定する2法が示されている.しかし,公定法にはこれらの操作についての詳細な記載がないため,本研究では具体的な操作手順についての検討および還元性物質共存下で簡便かつ迅速に六価クロムの有無を確認する操作(以下「簡易操作」と呼ぶ.)の有効性の検討について行った.
  その結果,鉄共沈操作について,良好に六価クロムを測定することができる手順を明らかにできた.一方,妨害物質除去操作において,蒸留水を用いた検討では良好な結果が得られたものの,試料中に三価クロムが含まれる場合,測定結果が実際の値よりも高くなる傾向があることが分かり,実試料の適用には到らなかった.また,簡易操作において,共存する還元性物質が低濃度であれば,六価クロムの有無を簡便に確認することができた.

 

資料

   ・2015rep7 三重県独自の調査様式による性感染症サーベイランス結果(2014年)

        奈良谷性子,宮下哲雄,高橋裕明,山内昭則

      キーワード:性感染症,サーベイランス,無症状病原体保有者,パートナ検診,咽頭感染

  性感染症の発生予防やまん延防止には,10代後半から20代前半の若年層への対策に加え,無症状病原体保有者への対策の重要性も指摘されているが,現行の感染症法に基づくサーベイランスでは把握できる情報に限界がある.このことから,三重県では2012年1月から独自の調査様式による性感染症(STI)定点サーベイランスを開始した.
   2014年1月から12月分の報告によると女性は,「妊婦健診」や「不妊治療」等を契機とした,クラミジア無症状病原体保有者を多く確認することができたが,淋菌については少数に止まった.このことは,クラミジアの検査が妊婦健診の公費負担の検査項目の一つであるが,淋菌検査は公費負担の検査項目にないため,検査未実施による多数の感染者が潜在することが考えられた.また,咽頭感染は1例も報告がなかったが,これも同様に,検査未実施のため見過ごされる可能性が考えられる.このことから,受診者へよりいっそうの検査勧奨が望まれる.一方,男性の無症状のクラミジア感染者や女性の無症状の淋菌感染者の多くが「パートナーが有症状」であることを契機に受診していることから,パートナー検診の重要性をあらためて認識することができた.
  また,咽頭感染からパートナーに感染を広げるリスクがあることから,今後は,無症状を含む咽頭感染を顕在化する検査の推進が必要と考えられた.                                          

     2015rep8 2014年感染症動向発生調査結果                   

       赤地重宏,楠原 一, 小林章人,矢野拓弥, 前田千恵,永井佑樹, 小林隆司             

   キーワード:感染症発生動向調査事業,病原体検査定点医療機関,インフルエンザ,感染性胃腸炎,リケッチア感染症

  2014年1月1日~12月31日までに県内の病原体検査定点医療機関等から検査依頼のあった患者数は736人であった.疾患別の内訳は,感染性胃腸炎159人,インフルエンザ108人,リケッチア感染症53人,ヘルパンギーナ45人,手足口病30人,不明発疹症20人,無菌性髄膜炎17人等であった.これらのうち,477人(64.8%)から病原体が分離・検出された.
主な分離・検出病原体はA型およびB型インフルエンザウイルスの亜型(InfAH1pdm09,InfAH3,InfB),ノロウイルスGⅡ型(NV-GⅡ),A群ロタウイルス(RoA),日本紅斑熱リケッチア,ライノウイルス,ヒューマンメタニューモウイルス,パラインフルエンザウイルス,RSウイルス等であった.

   2015rep9 2014年度感染症流行予測調査結果(日本脳炎,インフルエンザ,風しん,麻しん)の概要   

      矢野拓弥,楠原 一,赤地重宏,小林章人,松野由香里,小林隆司,西中隆道

   キーワード:感染症流行予測調査,日本脳炎,インフルエンザ,風しん,麻しん

    感染症流行予測調査事業では,人の年齢別抗体調査による免疫保有状況(感受性)および動物(豚)に潜伏している病原体(感染源)の把握を目的として調査を実施している.2014年度に実施した調査結果は次のとおりである.
(1)日本脳炎感染源調査については三重県中部地域で飼育された豚の日本脳炎ウイルスに対する赤血球凝集抑制(Hemagglutination inhibition:HI)抗体の保有状況を調査した.HI抗体保有豚(10倍以上)は確認されなかった.
(2)ヒトの日本脳炎感受性調査における中和抗体保有率は58.5%(429名中251名)であった.
(3)動物のインフルエンザウイルスの県内への侵入を監視するため,豚100頭を調査したがインフルエンザウイルスは検出されなかった.
(4)ヒトインフルエンザウイルスの流行期前の血中HI抗体保有率(HI価40倍以上)
は乳児から学童期に対してのA/California/7/2009(H1N1pdm2009)は0-4歳
18.8%,5-9歳71.4%,A/New York/39/2012(H3N2)は0-4歳23.4%,5-9歳76.2%
であった.B型インフルエンザウイルスのB/Brisbane/60/2008(ビクトリア系統)
は0-4歳4.7%,5-9歳38.1%であった.B/Massachusetts/02/2012(山形系統)では
0-4歳6.3%,5-9歳42.9%であった.
(5)風しん感受性調査における全年齢層でのHI抗体保有率は84.4%(男性:76.3%,女性:93.2%)であった.
(6)麻しん感受性調査における全年齢層でのPA(Particle Agglutination)抗体保有率は95.1%であった.

   2015rep10 2014年度の先天性代謝異常等検査の概要   

         前田千恵,小林章人,楠原 一,永井佑樹,小林隆司

   キーワード:先天性代謝異常等検査,先天性副腎過形成症,先天性甲状腺機能低下症,
先天性アミノ酸代謝異常症,先天性有機酸代謝異常症,先天性脂肪酸代謝異常症

    三重県における先天性代謝異常等検査事業は三重県先天性代謝異常等検査実施要綱に基づき,アミノ酸代謝異常症5 疾患,有機酸代謝異常症7 疾患,脂肪酸代謝異常症4 疾患,ガラクトース血症,先天性副腎過形成症および先天性甲状腺機能低下症の19 疾患を対象に実施している.2014 年度は県内の新生児のうち保護者が希望した14,927 人について検査を実施した.そのうち再採血を依頼した検体は計468 件,精密検査を依頼した検体はフェニルケトン尿症1 件,プロピオン酸血症/メチルマロン酸血症2 件,イソ吉草酸
血症12 件,先天性副腎過形成症14 件,先天性甲状腺機能低下症18 件の計47 件であった.また確定患者数は,フェニルケトン尿症1 人,先天性甲状腺機能低下症9 人の計10人であった.

   2015rep11 三重県における2014年度環境放射能調査結果

        吉村英基 ,森 康則 ,前田 明, 一色 博 ,山本昌宏

    キーワード:環境放射能,核種分析,全ベータ放射能,空間放射線量率

  原子力規制庁からの委託を受け,降水中の全ベータ放射能測定,降下物,大気浮遊じん,河川水,土壌,蛇口水および各種食品試料のガンマ線核種分析(I-131 ,Cs -134 ,Cs -137 ,K-40 )ならびに空間放射線量率測定を実施し,三重県おける環境能の水準把握行った.
  降水中の全ベータ放射能,モニリングポストを用いた空間線量率連続測定およびサ 降水中の全ベータ放射能,モニリングポストを用いた空間線量率連続測定およびサーベイメータを用いた月1回の空間放射線量率の測定結果では,異常認められなかった.核種分析においては Cs -134, Cs -137 が降下物試料などから  検出さ れたが,環境に影響 を及ぼすレベルではなかった.

    

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