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平成20年03月11日

保環研年報 第2号(2000)

'2000年報表紙



 三重県保健環境研究所年報 第2号(通巻第45号)(2000)を発行しましたのでその概要をご紹介します。

   各研究報告、ノートの全文(PDF形式)をご希望の方は、こちら からダウンロードできます。



研究報告

 原著

0001 感染症発生動向調査に関するアンケート結果の解析 (約63KB)
   寺本佳宏,高橋裕明,中山 治

 1981年7月から開始された「結核・感染症サーベイランス事業」は医療機関の8割が有用と回答し,その情報の入手方法は県医師会報が主であった.また,市町村・教育委員会でも7割が有用と回答したが,情報提供の時期が遅く役立たないとの回答もみられた.今回の調査結果から,感染症発生動向調査を進めていくうえで特に充実を図る必要があるのは「現場における診断の資料として活用できる情報の提供」と「最新の患者発生情報や病原体検出情報を迅速に提供できるシステムの確立」であり,加えて「地域の医療機関から提供される生の情報」,「地域を細分化した詳細な情報」等も求められていることが明らかとなった.また,今後充実させる情報提供手段としては「ファックス」への要望が高かったことから,当面は「ファックス」での情報提供の充実を図りつつ,より迅速で豊富な情報が提供できる「インターネット」の活用についても推進する必要があることも明らかとなった.
キーワード:意識調査,感染症発生動向調査,インターネット
0002 高齢者に対するインフルエンザワクチンの効果  (約32KB)
   高橋裕明,寺本佳宏,矢野拓弥,福田美和,杉山明,中山治,神谷齊a)
 三重県内の老人保健施設および特別養護老人ホームに入所している65歳以上の高齢者465名を対象に,インフルエンザワクチンの安全性,有効性について検討を行った.その結果,ワクチンの接種による副反応としては,局所的な症状が主であり,特に重篤な症状は認められなかった.またワクチン効果については,38℃以上の発熱を指標として解析した結果,オッズ比 0.12(p<0.001)とワクチン接種群の発熱する確率が非接種群より有意に低くなった.
キーワード:インフルエンザ,ワクチン,高齢者
0003 大腸菌の病原因子検索のための混合プライマーによる迅速検出法の研究   (約30KB)
    山内昭則,岩出義人,中野陽子,杉山明,中山治,熊沢教眞a)
 PCR法の応用により従来法に比べて病原大腸菌病原因子の迅速な検出が可能である.Stx, INV, ST, LT 4種の病原因子の検出できる混合プライマーを作製すればより簡便に検出することが可能である.二次増菌又は,カラムを使用することによりPCR阻害物質を除去すれば,検出感度を上げることができ混合プライマーによるPCR法はスクリーニングとして非常に有効である. 
キーワード:PCR,混合プライマー,スクリーニング
0004  伝統薬の継承(2) 萬金丹  (約96KB)
   志村恭子,佐藤 誠,大熊和行,小川正彦
 三重県内には古くから伝わる伝統薬を製造している中小零細企業が立地している.萬金丹は胃腸病等に用いられる丸剤であり,伊勢市内の零細企業で細々と約600年前から製造が続けられている.こういった零細企業がGMPやバリデーションに対応していくことは難しい.そこで,当所は伝統薬を継承していくことを目的として, 萬金丹中のグリチルリチン酸の定量法を見直すとともに,零細企業のレベルに合ったバリデーションの指導を行った.その結果,定量法の精度は良好であり,また製造工程は十分管理されていた.
キーワード:伝統薬,萬金丹,グリチルリチン酸,バリデーション
0005 三重県内公共用水域におけるエストロゲン様物質の分布  (約83KB)
   岩崎誠二,高橋正昭,加藤進,山下晃,松田知成a)
 ヒト女性ホルモン受容体遺伝子を組み込んだ酵母を利用したバイオアッセイで,エストロゲン様物質の定量を試みた.本バイオアッセイで三重県内の18河川のエストロゲン様物質を定量したところ,最大値は今井橋で4.0 ng/Lであった.また,ろ過液とろ過物を分別してそれぞれを定量したところ,大部分がろ過液で検出された. 河川水のエストロゲン様物質は,COD,NH4と高い相関性があったので,し尿系排水に由来することが推察された.
キーワード:ヒト女性ホルモン受容体遺伝子,酵母,バイオアッセイ,エストロゲン様物質
0006 炭化汚泥からのリン,金属等除去回収について  (約64KB)
   高橋正昭,加藤 進,岩崎誠二,山下 晃山本君二a),奥村 洋a),安藤志野a)
 下水汚泥等から製造される,炭化汚泥中にはリン,重金属等が多量に含まれており,これが有効利用を図るうえでの障害となっている. 炭化汚泥に硫酸を加えて,リン,アルミニウム,重金属を溶出させ,これに炭酸水素ナトリウム,炭酸カルシウムなどの各種アルカリを加えてpH調節することにより,これらリン,アルミニウム,重金属等を分別回収する方法を試みた. 200gの炭化汚泥からRun1は炭酸水素ナトリウムと水酸化ナトリウムを用いてリン回収物57g,重金属含有物10gを回収した.Run2は炭酸カルシウムと水酸化カルシウムを用いて同様に試験を行ったところ,リン回収物,重金属含有物の回収量は,それぞれ122g,10gであった. 組成分析の結果,リン回収物はRun1の場合にはリン酸アルミニウムRun2の場合にはリン酸アルミニウムと硫酸カルシウムの混合物であると推定された.また,重金属含有物中にはは鉄が多く含まれていた.これらリン,金属を除去した炭化汚泥のメチレンブルー試験による吸着能を測定したところ,吸着性能は10倍以上,向上した.
キーワード:下水汚泥,炭化,リン,金属,資源回収
0007 多自然型河川作りに関する研究 第2報 鹿沼土を用いた同時脱リン・脱窒法   (約53KB)
   加藤進,山下晃,岩崎誠二,高橋正昭
 環境に優しい吸着担体として鹿沼土を利用し,河川水からの同時脱リン・脱窒法を開発した.すなわち,鹿沼土の細孔に脱窒菌の濃厚溶液を吸蔵させ,さらに前培養で固定化することに成功した.この担体を,30~70mg/Lの硝酸イオンを含む河川水に浸せきし,回分操作(反応時間:24時間)で,脱窒と脱リン率は1ヶ月間にわたってほぼ90%以上を,特別な処理を必要としないで維持した.また,処理溶液量を300mLと2000mLの2種類とし,反応器のスケールアップに伴う問題も検討したが,取り立てた困難な問題点は存在しなかった.また,この脱窒菌の硝酸イオン分解至適温度は25℃であった.しかし,10℃においても25℃における硝酸イオン分解率を100%としたときの25%の分解率を示した.微生物分解の動力学係数(Michaelis-Menten parameter)は,μmax=0.236mmol/H,Km=5.75mmol/L/Hであった.
キーワード:鹿沼土,脱リン,吸着,脱窒,微生物分解,反応速度,MPN法

 ノート

0008 1999年度感染症発生動向調査成績の解析   (約36KB)
   矢野拓弥,福田美和, 川田一伸,杉山 明,櫻井悠郎,中山治 内山直大1)  神谷 齊2)
 1999年度感染症発生動向調査定点あたりから報告された疾患のうち,感染性胃腸炎が37.7%を占め最も多く,次いでインフルエンザ疾患が31.7%で以下,ヘルパンギーナ8.9%,水痘7.3%と続いた.ヘルパンギーナ疾患患者は過去5年間で最も多い報告があった.中勢地区において,無菌性髄膜炎患者から、コクサッキーB群ウイルスが分離された.冬季には例年同様インフルエンザ 様疾患及び感染性胃腸炎の流行がみられ,Aソ連型とA香港型ウイルスが同時期に分離され両A型インフルエンザウイルスが主流行したシーズンであった.感染性胃腸炎患者からはNorwalk-likeviruses(NLVs),A群ロタウイルスが検出された.
キーワード:感染症発生動向調査,コクサッキーB群,A型インフルエンザ,Norwalk-likeviruses
0009 1999年度のポリオ,日本脳炎,風疹, インフルエンザ流行予測調査の解析   (約135KB)
   川田一伸,矢野拓弥,福田美和,杉山明,櫻井悠郎
 ポリオウイルスの分離は14名より試みたが全て陰性であり,また他の腸管系ウイルスも分離されなかった.日本脳炎のHI抗体保有豚は,7月27日から9月26日まで検出された.また2-ME感受性抗体保有豚は,7月27日に検出され8月17日には消失して再び8月24日から9月14日まで出現した.風疹のHI抗体保有率は男性で87%,女性では89%であった.インフルエンザは流行期前,各年齢層で抗体保有率の低かったAソ連型(H1N1)が流行し,次いで保有率の高かったA香港型(H3N2)の流行も認められた.豚のA/New Jersey/1/76(H1N1)に対する抗体保有率は7.5%であったが,A/duck/Singapore/3/97(H5N3)とA/turkey/Wisconsin/66(H9N2)に対しては保有していなかった.
キーワード:流行予測調査,ポリオ,日本脳炎,風疹,インフルエンザ,1999年
0010 かぜ薬(液剤)のプロセス・バリデーション  (約24KB)
    佐藤 誠,志村恭子,大熊和行,小川正彦
 県下中小医薬品メ-カ-で製造されているかぜ薬(液剤)の同時的バリデ-ションについて以下のように実施した.品質に影響すると考えられる重要工程として,原料本混合工程及び殺菌工程における有効成分の含量均一性等を検証した.試料のサンプリング法については,層別,時期別に分散及び平均値の差の検定を行ったところ,いずれも有意な差異は認められなかったことから,単純ランダムサンプリングを行うこととした.重要工程を管理図法及び工程能力指数により評価したところ,本工程は十分管理されていることが明らかとなった.
キーワード:かぜ薬,HPLC法,バリデーション
0011 カーバメート系農薬を含む有機窒素系農薬のFTD-GCによる測定  (約251KB)
    阪本晶子,小川正彦,大熊和行,佐藤 誠,志村恭子
 食品への残留基準が設定されている農薬の中で,カーバメート系農薬を含む有機窒素系農薬は,種類が多く,汎用されている.著者らは,GC/MSを用いた測定について報告1)するとともに,測定結果の信頼性をより高めるため,選択的検出器であるFPDを用いた測定について報告2)した.しかしながら,GC/MSとFPDのみでは十分ではないことからFTDを検出器に用いたGCについて,既報3)の農薬24種類に,新たに本検出器での測定が有効と思われる農薬を加えた87種類について検討を行ったところ,次のような結果を得た. 1)新規カーバメート系農薬4種類及び有機窒素系農薬59種類についてFTD-GCでの測定条件 を検討したところ,既報3)の条件で測定可能であった. 2)農薬87種類について検出限界を確認したところ,メチオカルブスルホキシド,メチオカルブス ルホンを除く85種類の農薬について,実用上十分な検出限界が得られた.そのうちカーバメート 系農薬14種類及び有機窒素系農薬60種類は0.05μg/mL以下となり,概ねGC/MS-SIMと 同等と考えられた. 3)リン原子を持つピラクロホス,テトラクロルビンホス及びホルモチオン,イオウ原子を持つピリ ブチカルブ及びホルモチオンはFPD-GCよりも感度がよかったが,イオウ原子を持つメチオカ ルブ及びホルペットはFPD(S)-GCと同程度,メチオカルブスルホン及びメチオカルブスルホキ シドはFPD(S)-GCのほうが感度がよかった. 4)農薬85種類について直線性を確認したところ,実用上必要な範囲の検量線において直線回帰式 及び両対数回帰式のいずれにおいても十分な相関係数が得られた.
キーワード:残留農薬,カーバメート系農薬,ガスクロトグラフ(GC),FTD-GC
0012 県下河川水中の環境ホルモン類の状況   (約261KB)
    早川修二,山川雅弘,仲 邦煕a),山本晃道b),市岡高男
 環境ホルモン類(外因性内分泌攪乱物質)のフェノール系(ノニルフェノール,ビスフェノールA他)9物質,農薬(シマジン他)12物質およびフタル酸エステル(フタル酸ジエチルヘキシル他)4物質の計25物質について,三重県下の40河川(43地点)対象に,固相抽出-GC/MS-SIM法で分析を行った.その結果,主としてビスフェノールAやノニルフェノールが検出され,その濃度範囲はビスフェノールAが ND~1.57μg/L,ノニルフェノールがND~2.30μg/Lであった.また,フタル酸ジエチルヘキシルなどが微量検出された.
キーワード:環境ホルモン,GC/MS,水質

 資料

0013 1999年に三重県で発生した食中毒   (約26KB)
    岩出義人,中野陽子,山内昭則,杉山明
 1999年に三重県で発生した食中毒は,7件あり摂食者数420名中124名が発症し,発症率35.0%であった.原因物質の内訳はVibrio parahaemolyticus 4件,Salmonella sp. 2件(S.Litchfield,S.Enteritidis 各1件),小型球形ウイルス(SRSV) 1件であった.V.parahaemolyticusによる事例の総てから血清型O3:K6が分離され,うち2事例は,複数の血清型が分離された.また,久居市で発生した事例では原因と推定される残存食品からも患者由来菌と同一の血清型O3:K6 耐熱性溶血毒(TDH)産生菌が分離された.
0014 嗜好性食品中の残留農薬の実態調査   (約36KB)
    小川正彦,阪本晶子,大熊和行,佐藤 誠,志村恭子
 嗜好性食品の食用花,健康茶及びハーブ茶53試料を対象として,農薬96種類の残留実態を調査し,その結果を検討した. 1) 嗜好食品53試料のうち28試料から,有機塩素系農薬5種類,ピレスロイド系農薬2種類,有 機リン系農薬8種類,カーバメート系農薬3種類,その他の有機窒素系農薬の3種類の計21種類 が検出され,検出率,検出農薬数ともに高い値を示した. 2) 花部の生鮮品からはピレスロイド系,有機リン系,カーバメート系及びその他の有機窒素系農薬 が,乾燥品からは有機塩素系農薬が,葉部の焙煎品からはpp'-DDEが検出された.加工の程度及 び方法が残留する農薬の消長に影響を与えると推察された. 3) DDT,BHCで特に残留しやすいpp'-DDE,β-BHC以外が検出され,国産ではひとつの 試料から複数の農薬が検出された.また,食用キクでDDVP,食用西洋花でテブフェンピラドが 多試料で検出されており,生産地での農薬の種類・使用方法等の指導に配慮する必要があると思わ れた. 4) 原産国別では,中国産のすべてから有機塩素系農薬が検出され,その他の国でも検出されている. このことから輸入品の有機塩素系農薬については注意が必要であると思われた. 5) 類似用途の農産物の残留農薬基準と比較したところ8種類9試料で基準値を上回った.プロチオ ホスで110倍,DDVPで22倍の値となった.また,原産国はすべて日本又は中国であった. 6) 残留農薬基準値を上回った農薬が検出された健康茶及びハーブ茶を,茶と同様の熱湯抽出法によ り分析したところ,すべて基準値を下回った.しかしながら,MEPで基準値の50%であったこと, 健康ブームのなか直接喫食される可能性があることから,これらについても残留農薬基準を設定す ることが必要と考えられた.
キーワード:残留農薬,嗜好性食品,食用花,ハーブ茶,健康茶,GC/MS
0015 先天性代謝異常検査結果の概要 -1999年度の成績-   (約14KB)
    大川正文,橋爪清,別所敬子
 1999年度における先天性代謝異常検査の概要は以下の通りであった. (1)本年度の検査依頼検体数は18,661件であり,1983年度をピークとして,長期的には微減傾向がみられる. (2)検体不備件数は24件であった. (3)疑陽性と判定し,再採血を要求し再検査を行った検体は,404件であり,総依頼検体に対する再検査率は2.2%であった. (4)1999年度の精密検査依頼数は,フェニルケトン尿症1名,甲状腺機能低下症 10名,副腎皮質過形成症7名の計18名であった.
キーワード:先天性代謝異常検査
0016 大気中のBTX及びエチルベンゼン実態調査結果   (約110KB)
    山川雅弘,市岡高男,早川修二,山本晃道a),仲邦煕b)
 ベンゼン,トルエン,キシレン類及びエチルベンゼンを対象に,キャニスター捕集-GC/MS法を用いて三重県内6地点で平成10年4月から平成12年3月にかけて月1回の頻度で調査を行った. その結果,これらの物質は秋季から冬季にかけてやや高い傾向がみられた. 各物質間の相関係数を求めたところ,キシレン類とエチルベンゼンについては高い相関が見られた.トルエン又はベンゼンが多少高く検出された2地点では,それぞれトルエンとベンゼンの相関係数,ベンゼンとキシレン類及びエチルベンゼンとの相関係数が低くなった. 今回測定を行った地点において,キシレン類とエチルベンゼンの比率は似かよった値を示し,その比率は分解系キシレンの混合比率に近かった.キシレン類及びエチルベンゼンの発生源は,分解系キシレンを中心に改質系キシレン等の影響が加わっているものと推測された.
キーワード:大気,ベンゼン,トルエン,キシレン類,エチルベンゼン,キャニスター

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