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平成26年10月21日

おさかな雑録

No.96 イボクラゲ 2014年10月21日

暖海性のはずなんですが

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イボクラゲ 傘の直径 約35㎝ 南伊勢町奈屋浦 平成26年10月8日撮影

 まき網の選別場所で見慣れないクラゲ2個体を発見。遠目での第一印象はユウレイクラゲのようにも見えましたが、近づいてみると明らかに違います。かなりボロボロになっていますが、傘の中心部は厚みがあり、かなりしっかりとした突起が多数ついています。小型の1個体を持ち帰り名前を調べると、イボクラゲという種であることがわかりました。

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イボクラゲ 傘の直径 25㎝ 南伊勢町奈屋浦産 平成26年10月9日撮影

 イボクラゲは傘の表面に突起があり、口腕や触手が長いことで区別できます。なお、この画像の個体はすでに口腕や触手はほとんど失われています。また、イボクラゲは暖海性で、三重県や近隣ではあまり見かけないようです。筆者も、市場通い6年目で初めて見ることができました。(追記:平成22年10月6日に記録があり、ちょうど4年ぶりの2例目でした。)

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イボクラゲ 口側 傘の直径 25㎝ 南伊勢町奈屋浦産 平成26年10月9日撮影

 イボクラゲの傘の縁辺は、先が2叉する細長い突起が多数並ぶように見えます。傘は薄い紫色、口腕は褐色で、標本の状態が悪かったのかもしれませんが、口腕や傘の縁辺部は非常に崩れやすいように感じました。また、触手はほとんど残っていませんでした。

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イボクラゲ 口側 拡大 傘の直径 25㎝ 南伊勢町奈屋浦産 平成26年10月9日撮影

 傘を拡大してみると、青紫色の細い筋のようなものが多数見えます。傘の鮮やかな色彩は、この筋によって作り出されているようです。

 ところで、漁業対象でもないクラゲになぜそれほど注目するかということですが、クラゲは大型でありながら浮遊生活を送る、すなわち移動は潮の流れに依存する生き物です。したがって、特に日ごろ目にしないクラゲがみられたときは何か海況に変化があった可能性も考えられます。また、エチゼンクラゲなどの大型クラゲが大量に押し寄せれば漁業への被害も想定されます。海況(の変化)を把握するため、そして漁業被害のリスクを低減させるため、クラゲの出現状況には常に目を光らせているのです。

 で、肝心ともいえる海況についてみてみると、

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上 2014年10月2日、下同10月8日 赤丸は調査地を示す  関東・東海海況速報より

 上の図はイボクラゲの出現する前の調査日、下の図はイボクラゲが混獲された日の海況です。これといって、大きな海況上の変動はなく、表面水温は季節と共に順調に低下しているようにみえます。タイトルにあるように、イボクラゲは暖海性として知られていますので、例えば黒潮からの顕著な暖水波及と出現が同期していれば「わかりやすい」のですが、どうやらそう簡単ではないようです。

 実はこの日、もう一つ特徴的な出来事がありました。イボクラゲの出現と関連があるのかどうかは不明ですが、念のため記録しておきます。

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ハマフエフキ 標準体長 約50㎝ 南伊勢町奈屋浦 平成26年10月8日撮影

 ハマフエフキは特に珍しいというわけでもない魚ですが、まとまって網に入ることはあまりありません。ところがこの日は活魚水槽にややまとまって泳いでいました。

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ハマフエフキ 標準体長 約50㎝ 南伊勢町奈屋浦 平成26年10月8日撮影

 ハマフエフキの分布の中心は三重県より南の海域なので、どちらかというと暖海性の魚といえるかもしれません。魚類の多くは季節に応じて自分の意志で棲み処を変えることができることから、ハマフエフキのまとまった出現は、水温の低下によって東側の海域から移動してきたものではないかと考えられます。なお、暖海性の魚は、北寄りの海域では脂がのって美味しくなることがよくあるのですが、ハマフエフキも例にもれず、沖縄で食べるのとは別の魚のように絶品になると聞いたことがあります。今の時期、もし見つけたら狙い目かもしれません。

 閑話休題。

 イボクラゲはどこから、いつ、どうやってきたのでしょうか?先に触れたように、南から、直前に、黒潮にのって流れてきたというのは海況的に考えにくく、南方由来としても一旦伊豆や房総あたりまで流れてから西に向かった可能性が考えられます。また、対馬暖流から日本海、津軽海峡を通って太平洋側を南下してきた可能性も否定できません。いずれにせよ、熊野灘には東側から流れてきた可能性が高く、どこからどのように流れてきたかについては、見当をつけることすらできないと判断されました。結局、何も解決しませんでしたが、クラゲは泳がないから簡単という安直な着想が木端微塵に粉砕されるという、筆者にとって貴重な教訓となった一件でした。

(2014年10月21日掲載 2015年6月29日追記 企画・資源利用研究課)

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