知事定例会見録
令和7年6月5日
於:プレゼンテーションルーム
発表項目等
- 熱中症予防に関する注意喚起について(発表)
- 「耳で聴くハザードマップ」サービスの利用開始について(発表)
- 三重県総合博物館(MieMu)における「ポケモン化石博物館」の開催について(発表)
- 「三重の周産期医療体制あり方検討会」の設置について(発表)
質疑項目
- 「三重県食を担う農業及び農村の活性化に関する条例」の改正
- 職員の懲戒処分
- 合計特殊出生率の低下
- クマ出没件数の増加
- 防災庁の誘致
発表項目等
(知事)おはようございます。お待たせいたしました。それじゃ、定例会見を始めさせていただきます。今日、私の方から四つ報告をさせていただきたいと思います。一つは、今日から三重県でもだいぶ気温が上がってきますが、熱中症予防の注意喚起ということでございます。グラフを見ていただきますと、ここ最近の気温の変化でございますけれども、だいぶ春先みたいに寒い、涼しい時がありましたけれども、昨日からちょっと気温上がりまして、今日29度ということであります。明日も28度予測ということで、25度を超える夏日を超える気温、最高気温が想定をされております。これ津ですけどね。県内で言うと桑名とか、それから伊賀はもうちょっと上がってくる可能性があると思います。週末あたりから梅雨入りをするということで、湿度が高くなってくるという予測も出ております。熱中症ですけれども、6月になるとぐんと増えるということが申し上げたいんです。これは5月の状況です。令和4年度が緑色、5年度が水色、それから令和6年度がピンクで表されていますが、5月に比べると熱中症の搬送件数がだいたい倍になります。これ今までのトレンドです。7月なんてもっと上がるんですけどね。5月に比べると8倍とかそのぐらいになってくるんで、また7月に県民の皆さんに呼びかけさせていただきますが、まずはこの熱中症で搬送される方が増えてくる6月ということで呼びかけをさせていただきたいと思っております。なんで6月、さっきの見ていただくと、そんなにめちゃくちゃ30度を超える日がどんどん続くというわけではないじゃないかっていう話はあるんですけど、見ていただくと暑さ指数、これによって熱中症の患者さんの発生率が増えてくるということでありまして、暑さ指数というのは気温だけではないんです。比率で言うと、気温1に対し湿度7、輻射熱って地面からの照り返しですから、それが2ということで、これで暑さ指数というのが決まりまして、暑さ指数が28を超えると、6月になると28を超えてくるということなんですけれど、熱中症の患者の発生率が増えてきますということです。熱中症になると戻る方もおられるんですけれども、残念ながらお亡くなりになる方もおられますし、長期入院ということになることもありますので、熱中症は避けていただきたいということです。何で熱中症になるかということなんですが、身体がまだ暑さに慣れていない、暑さに慣らすことを暑熱順化というふうに言います。7月・8月、5月から6月に変わった時ぐらいの同じような感じですと、熱中症になる人は山ほど出るそうな感じなんですけど、身体が暑さに慣れてきて汗をかきやすくなってくると、熱中症になる確率が減ります。ところがこの時期、まだ身体が暑さに慣れてないので、熱中症になりやすくなる。この暑熱順化ってぜひ覚えておいていただきたいと思います。何度も申し上げてるんですけど、特に高齢者の方々、暑くなってもエアコンを使われない方もおられますし、それから晴れた日に畑行かないかんのやとか、庭で草木の手入れをせなあかんのやということで、実は去年も7月ですけど、それでお亡くなりになっておられる方がおられるので、なるべく外に出ない方がいいですよ。身体が暑さに慣れてきたら、暑さ対策を十分していただいて、出ていただくのはいいですけど、特にこの6月、今から暑くなってきて、かつ梅雨になってきて、湿度が上がってくる今の時期に気を付けてくださいということであります。何をしていただくかということですね。外出の時は日傘とか帽子を使用してください。紫外線は目にも良くないので、日傘あるいはサングラスも使っていただきたいと思います。屋内、エアコンを使っていただければというふうに思います。温度調節していただく。それから水分補給。これは必ず喉が渇いた時、その前に水分補給をしていただきたいということでございます。7月もう1回やりますけど、6月、今から熱中症対策を始めていただきたいということでございます。特に熱中症の警戒アラート、これは6月は今まであまり出てないんですけど、7月になるとまた出てくると思います。出させていただくことになると思います。その時には各自治体のクーリングシェルターを使っていただきますけど、これまた7月に申し上げます。ただ、各市町が全29市町、もう既にクーリングシェルター作っておられますので、これが発動されるということも今後出てき得るということだけ申し上げて、とにかく暑熱順化、これをぜひよろしくお願いしたいと思います。1点目、以上です。
続きまして、防災関係の「耳で聴くハザードマップ」サービスを利用を開始しますということを申し上げたいと思います。これは今日から利用が開始されますということでございます。ハザードマップって、目で見やんと、どこが、例えば津波の可能性があるのか、あるいは洪水のリスクがどれだけあるのかって分からんですよね。それを声で教えてくれるサービスがあります。これは民間会社のUni-Voice Blind(ユニボイス ブラインド)というところが提供しているサービスなんです。これで声で聞くと、目が見えない障がいをお持ちの方も、自分が今いる場所がどのぐらいの危険性があるかというのが分かりますということであります。これは民間会社が提供をしておられるサービスで、これ県として料金をお支払いをしますと、その県内で使えるようになるということで、既に7都県が導入をされていますが、東海地方では三重県が初でございます。これは三重県の中で、目が見えない、あるいは見えづらい方からハザードマップで示されても自分たちは分からないんだという話がありまして、それであればということで探してみましたら、先ほど申し上げた情報を音声で読み上げる、こういうサービスがあるということが分かりましたので契約をさせていただきたいというふうに考えたところであります。今から動画、約20秒ほど流させていただきます。それで、どんな中身かってのが分かっていただけるんじゃないかと思います。「桑名市中央町5丁目71です。標高は1.7メートルです。この場所は最悪の場合、洪水による浸水が発生して、その深さが50センチメートルから1メートルになることが想定されています。これは床上浸水に相当する深さです。」というようなことで、ここの言葉を読み上げていただきますので、今ご自身がおられるところがどの場所なのかってのが分かるわけですね。例えば、ご自宅でこれを聞いていただければ、ご自身が住んでおられる場所がどのぐらいの津波が来るのか、洪水が来るのかということが分かるということです。これを今日から開始をします。去年の11月に三重県で運用開始しました防災アプリ、ここともリンクを張りますので、防災アプリからこっちに飛んでいただくこともできるということでございます。また、皆さんの周りで、目が見えにくい、目が見えないということですが、このハザードマップについて知りたいという方おられたら、ぜひお伝えをいただければというふうに思っております。これ2点目です。
3点目でありますけれども、MieMu、三重県総合博物館でポケモンの化石博物館を開催をいたしますということであります。1月の17日、来年です、4月の5日まで、化石ポケモンというのがおりまして化石で見つかるんですけれども、特殊な装置を経由することによってポケモンとして復活をするそうでございますけど、その化石ポケモンの展示とあわせて、MieMuにあります全長7メートルのトリケラトプス、三つの角を持った恐竜ですけど、それの化石。それから翼が5メートルある翼竜のアンハングエラという、これも化石がございますが、一緒に展示をして、実際の恐竜の化石とそれから化石ポケモンを一緒に見ていただこうというものでございまして、1月の17日から4月5日。これ、日本全国を巡っています。見ていただきますと、この前も実はあるんですけど、山口とか福井とか長崎とか徳島、そして三重が来年の1月から4月なんですけど、日本はここが最後と言われています。アメリカに行って日本に戻ってこないじゃないかというふうに言われていますので、日本国内で見ていただくのは三重県の最後ということになります。ぜひ多くの方に来ていただいて、MieMuに来ていただいて、ポケモンとそれから三重県の化石を見ていただければということでございます。この7月にはポケモンの関係で言いますと、もう既にご案内をさせていただいていますが、鈴鹿と鳥羽でミジュマル公園も開園をするということでございまして、このポケモンの化石博物館、またオープニングの時にどんなことをやるかというのは考えていきたいというふうに思っておりますけれども、多くの人たちに、子どもさんだけではなくて、多くの人に来ていただきたい。国内最後の展示になる可能性が高いということでございますので、多くの方に来ていただきたいというふうに思います。これが3点目です。
そして4点目、最後でございますけれども、周産期医療体制のあり方検討会を設置をいたしますということであります。時期的には、今月の24日の火曜日、第1回検討会、周産期医療体制のあり方検討会というのを設置をして、検討をいたします。既に皆さんご案内のとおりでございますけれども、地域で分娩を取り扱う診療所の数が少なくなってきています。この三重県でも、中勢伊賀の医療圏では平成25年、約10年前ですが、それと比べますと、令和7年度で診療所数が半減をするということ、そして例えば名張市においては分娩ができる診療所がなくなってしまうということもあります。また、津でも今のままでは運営ができないということも出てきておりまして、しっかりと考えていこうという必要があるというのは事実であります。今までも三重県の医療審議会の周産期医療部会で議論をしていましたけど、ここで議論していたのは、どっちかと言うとリスクの高い分娩にどう対応するかということをやってまして、通常の分娩への対応、診療所をどのような形で展開する必要があるかどうか、あるいは減少していく診療所に対してどう対応するのかということは、今までこの部会では議論できてないので、まずこのあり方検討会で議論をして、あり方検討会で議論したものを公的な審議体である医療審議会、あるいはその下にある周産期医療部会にも持ち上げていって、そこでも議論していただきましょうということでありますが、まずはそのあり方検討会で議論しようと、こういうことでございます。医療の関係は、これから日本の人口どんどん減っていきますので、まず周産期から始まりますけど、小児科、それからそれ以外のところも影響は出てくると思います。通常の診療科も日本人の数が減っていけば、今のままでそれを維持できるかどうかという問題はあるということでありますので、人口減少の影響がここにまず出てきていると。医療の関係では、まずここの周産期に出てきているということであります。それをしっかりと議論していこうということでありまして、6月24日の19時から県庁講堂で実施をさせていただきます。どんなやり方で進めるかですけど、まず現状と課題を議論して、他県の事例、今まで県が何を取り組んでいるか、そしてこれから県がどう取り組んでいくかということを議論をしていきたいというふうに思ってまして、年度内に3、4回議論をするかなということを今のところ考えていますが、議論の中身によって、またこれからのやり方を考えていきたいと思っております。どこに住んでいるかということによらずに、誰でも安全安心に子どもを産むことができるという、そういう環境をつくっていくにはどうしたらいいのかというのをしっかり議論していきたいと思います。以上です。
発表項目等に関する質疑
○熱中症予防に関する注意喚起について(発表)
(記者)熱中症予防に関してですが、改めて今月から企業の熱中症対策も義務化されているかと思います。企業についての意識等、呼びかけがありましたら。
(知事)企業の方々、特に現場で働く方々をお持ちの企業、例えば建設もそうですし、あるいは運輸、農業もそうですね。そういった方々は熱中症対策を企業として対応していただくようにということになっていたかと思います。例えば、一定の時間で休憩を取られるとか、あるいは塩分をどのように補給するかということを社員の皆さんに周知をするというようなことをやっていただくということになると思います。企業の方々は、実際に働いておられる方の働き方改革の一環で、そういったことをやっていただくということですし、それから、私どもとしては県民の皆様に、特に高齢者の方、7月以降お亡くなりになる方が出てまいりますので、例えば令和6年で言いますと、7月に4名お亡くなりになり、8月に2名熱中症でお亡くなりになるということでございましたので、高齢者の方々にもぜひ注意をしていただきたいということでございます。
○「耳で聴くハザードマップ」サービスの利用開始について(発表)
(記者)「耳で聞くハザードマップ」サービスの利用ですが、先ほど東海地方では初めてで、7都県利用されているという話がありましたが、7都県を教えていただけますでしょうか。
(知事)どうぞ。ちょっと今資料が出てこないような。青森、秋田、東京、千葉、富山、鳥取、熊本、もう1回読みましょうか。青森、秋田、東京、千葉、富山、鳥取、熊本というふうに聞いております。
(記者)ですので、三重県が八つ目になる。
(知事)そうですね、はい。
(記者)あともうこれ今日から開始で、既に運用が始まっているという状況ですか。
(知事)そうです。
(記者)もう1点、音声で、これは情報を流すという中で、資料の中に警報・注意報、避難情報を音声で確認という欄があるんですが、これは自動的にそういう情報が流れるというような話ですか。
(知事)どうぞ。
(防災対策部)はい。おっしゃられたとおりでございまして、その情報もそのアプリの中で警報とか注意報の情報が流れるような形になります。
(記者)流れでもう1点よろしいですか。
(知事)どうぞ。
(記者)目が見えにくい方々がこれ利用される。
(知事)見えない方、見えにくい方、はい。
(記者)情報を確認するまでにはどうクリックしたらよいですか。
(防災対策部)元々スマートフォンに、そういう読み上げ機能っていうのがありますので、そこでその方々がそういうのにタップしながら、アプリにいっていただいて、それを情報のところで、例えばハザードマップっていうのは読み上げがボタンごとにされますので、そこで確認できるという流れです。
(知事)まず、スマホを、文字を声にする機能があるんだそうです。私もちょっと昨日聞きましたけど。それをオンにしておいていただいて、アプリを入れないかんですよ。アプリを入れていただく。これ無料で入りますので、そのアプリがどこにあるか自分で覚えておいていただくんですけど、そこはそのボタンを触ると、何とかアプリですと言うてくれるんで。それを立ち上げていただいて見ていただければいいと、こういうことです。先ほど言いました県の防災アプリってありますが、ここからこのアプリに飛ぶこともできるということです。
(記者)改めて一見知事のアプリへの期待、ありましたらお願いします。
(知事)まず自分がいるところがどれだけの災害に遭う危険があるかというのを承知しておくってのは、すごく大事なこと、知っておくのはすごく大事なことですけど、そのためにハザードマップってあるんですけど、目の見えにくい方、あるいは目が見えない方、今ハザードマップ、自分がいるところ、どういう場所なのか分かりませんよね。それは分かるようになるという意味ではとてもメリットがあるというふうに思います。事前に確認をしておいていただいて、いざ災害が起きた時に避難をしていただくと。その心の準備をしていただくというために、このアプリを使っていただければいいと思いますね。
(記者)7都県で利用されてますけども、利用者数ってどれくらいなのかって。
(知事)分かりますか。
(防災対策部)アプリをその7都県でですか。
(記者)はい。
(防災対策部)そこまではちょっとデータとしては承知していません。すみません。
(記者)民間会社に料金を支払うということですけれども、予算額と、あと県内に主に視覚障がい者の方とか、弱視の方ってどれぐらいいらっしゃるかって。
(知事)予算額は月11万円の6月から3月まで、今年度という意味では10か月分で110万円ということですね。これ、国が全国でやってくれるといいんですけどね。なんですけど、今のところ各県でやってます。
(防災対策部)視覚障がい者の身体障害者手帳をお持ちの方ということでありましたら、約4,000人になります。
(記者)それと続けてよろしいですか。住民の方にも利用できれば安心安全につながるのかなと思いつつ、さらに、三重県は観光地で、わりと特に南部とか津波など。
(知事)可能性ありますね。
(記者)そういう想定されているところもありますから、観光にそういう視覚障がいの方がみえるという場合にも使えるのではないかと思いますが、その点はいかが。
(知事)そのとおりだと思います。三重県がそのUni-Voice Blind(ユニボイス ブラインド)という会社と契約をすると、先ほど申し上げた7都県、契約したところに行けば使えるということなので、三重県が契約するメリット、三重県内だけではなくて、行った先でも使えるということで、三重県民の方、メリットがあるということです。
(記者)障がいのある方の観光でのPRみたいなのに使ったりするんですか。
(知事)そうですね。伊勢志摩コンベンションなんかは、障がいのある方のバリアフリーツーリズムとやっておられますけど、それにもこれは使えるんじゃないかと思います。
(記者)かぶっちゃうところもあると思うんですが、改めて知事としてこのアプリを導入することで、障がい者が、ある方もない方も期待感と言うか、知事としてどういうふうに防災対策を進めていきたいとお考えですか。
(知事)三重県では今まで防災対策に力を入れてきたつもりです。津波避難タワーだとか、それこそ防災アプリだとか、ようやく形が見えてきたんちゃうかなというふうには思っております。災害弱者という言葉があります。これは小さなお子さんだとか高齢者、そして障がい者の方です。そういった方は災害に巻き込まれて、命を落とす可能性が高いということなんですけれども、事前に備えていただいて対策をつくっていただく、考えていただくのはとても大事です。災害が来るかどうかのリスクの判断は、一つはハザードマップなんですけど、目が見えにくい方、目が見えない方はハザードマップを見ることができません。従って、音声で自分がいる場所、あるいは自分が、旅行先もそうなんですけど、行った場所、どういうリスクがあるのかというのを把握をしていただいて、いざという時にどこへ逃げるかというのを考えておいていただければ、災害に巻き込まれて命を落とす可能性も少ないと思いますので、ぜひご利用いただければと思います。
○三重県総合博物館(MieMu)における「ポケモン化石博物館」の開催について(発表)
(記者)ポケモン化石博物館は、三重で何県目ということになるんでしょうか。
(知事)三重で。どうぞ。
(環境生活部)はい、15番目になります。15県目ですね。
(知事)直近で書いてて、この前もあるんですね。この前もありまして、15番目と。どうも国内では最後じゃないかと、こう言われているので、多くの方に三重県に来ていただきたいと思います。
(記者)知事、ちなみにこれは目標の入館者数があったりとかするものなんですか。
(知事)いや、特にそれは定めておりませんけれども、多くの方に来ていただければありがたいなというふうに思っております。
○「三重の周産期医療体制あり方検討会」の設置について(発表)
(記者)では最後、三重の周産期医療体制のあり方検討会について、各社ありましたらお願いします。よろしいですか。
(知事)また、当日ぜひ取材してください。よろしくお願いします。
その他項目に関する質疑
○「三重県食を担う農業及び農村の活性化に関する条例」の改正
(記者)米の関係で条例改正についてお伺いします。先日の県議会の提案説明でも、知事が農業関係の条例の改正についてお話しされたかと思うんですけれども、改めてその意図とどのように変えていきたいかということを教えてください。
(知事)条例改正につきましては、今の条例が平成22年の12月に作ってる、施行されたものでありまして、これは減反政策を国が進めている中での条例です。その後、農業の基本法と言われてます食料・農業・農村基本法が令和6年に改正をされまして、食料安全保障の考え方も盛り込まれたわけであります。そういうのを受けて米不足、最近の米不足ということだけではないんですが、大きく情勢が変わってきてる中で、条例改正しましょうということで議論が以前もありましたので、従って条例改正をしますということを先日の知事提案理由の説明の中で申し上げたわけであります。その条例改正の話とは別に、もうちょっと長期的なスパンで三重県の農業をどうしていくかということで、懇話会を5月に立ち上げたところでありまして条例改正の考え方と、それで懇話会での議論、この二つを同時に進めていこうと思っているところであります。
(記者)中長期的な話もあるということなんですが、直近でも農水省の調べですと、県内の米の価格が全国では最も高かったりとかですとか、県民の方も懸念を持っておられるかとは思うんですが、そういったことに対して何かアプローチできるようなものになるんでしょうか。
(知事)米の価格が全国で最も高い、最も高いわけではないんですけど、高い部類であるというふうに聞いておりますが、これ農水省さんの調べなんですけど、三重県の中の5店舗をお調べになったということで、5店舗だけでそれが分かるかどうかという議論はあると思います。今、政府としては備蓄米を放出をして米の値段を下げようということをやっておられて、一定の成果が上がりつつあるように見えます。これはこれでいいと思うんですけれども、中長期的に米の値段をどうするかという議論は、作付面積あたりの収穫量、それとコストがどのぐらいかかるかということで決まってくる話だと思いますので、そういったあたりもコスト削減する米の作り方があるっていう話も前回の農業の懇話会でも出ていましたので、これからもそういう議論はしていきたいというふうには思っているところでございます。
(記者)条例ですと減反政策のこととかもあったと思うんですけれども、国の方針を受けて県でもそういった方向性で進んでたかと思うんですけど、そこらへんの総括と言いますか減反政策の総括と、現状を見てどうですか。
(知事)減反政策がどうかというのは国の施策ですので、今、農林水産省でもそれについての検証はどうもされるようであります。新しい米作りをどうするかというのは、閣僚会議を開いて総理がトップだったかと思いますが、お決めになられるということですので、それの結果を我々は待っていきたいと思ってますけれども、今までのやり方でいいかと言うと、必ずしもそうではないというふうには思います。国の動きも見据えながら、三重県として何ができるかっていうのを農業懇話会で議論を進めていきたいと思っております。
(記者)この件で最後にお尋ねなんですけど、新しい米の作り方と今おっしゃっていたと思うんですけども、前回も陸稲でしたっけ、の話とかされていたかと思うんですけれども、こういったものは今の現状の情勢にアプローチできるものか、それとも輸出関係でもう少しうまくいくようになるのか、新しい作り方の考え方も教えてください。
(知事)新しい作りはいろいろあると思います。ITを使うというやり方もありますし、それから、その栽培の仕方で前回議論が出ましたのは、乾田直播というやり方の議論、ご紹介がありました。米は水田で作らなきゃいけないという考え方だけではなくて、陸稲に近い感じでしょうかね、水田じゃなくて乾いた田んぼで直接籾をまいて育てるというやり方もあると。それですとコストがかなり低くなると、肥料の分とか、あるいは水の分とかですね。ということでありまして、そういうやり方もこれから研究をしていく価値があるかなというふうには思っています。これはどうも国の方でも検討されるようでありますので、それと平行した形で県でも検討するということになると思います。コストがかなり下がってくるということであると、輸出ということも視野に入ってくると思います。コスト高くても輸出してもいいんですけど、買う人が限られているという意味ではコストを下げた方が良くて、米余れば輸出すればいいじゃないかと考え方もあるんですけど、余れば輸出するっていうふうに言ってると、そもそも輸出用にはどのぐらいのコストじゃないといけないということがそれより前にあると思いますので、そこも議論しながらやっていくのかなというふうには思っておりますので、輸出は一つのやり方だと思います。今回の米が不足した時に何を調整弁にするか、これ以前も申し上げたかもしれませんけれども、輸出をしている米を調整弁にするってやり方はあると思いますが、ただ、余ったら輸出しましょうと、そういう考え方では良くないとは思いますので、そこの議論もしっかりとしていくべきだと思います。おそらく国においてもそういう議論されると思います。
○職員の懲戒処分
(記者)先日コメントを出していただきましたけど、改めて職員さんの懲戒処分について受け止めよろしいでしょうか。
(知事)不適切な行政の実施がありまして、懲戒処分をさせていただいたところであります。県民の皆さんの信頼、これが何よりも行政にとっては大事でありますが、今回の処分をした行政の実態と言いますか、違反行為につきましては由々しき事態であると私自身受け止め、県民の皆さんにおわびを申し上げたいというふうに思っております。懲戒もきちんとやらないといけないんですけども、再発防止、これが大事でありますので関係者、職員全体にこういったことがあったということを伝えて、二度と起こさないようにということを伝えていき防止を進めていきたい。県民の信頼を勝ち取るように、また信頼していただけるように回復するようにしていきたいと思っています。
(記者)再発防止ということですけど、再発防止には特に何が重要だというふうにお考えですか。
(知事)まず今回ですけれども、文書をある意味改ざんをしているということであります。改ざんするのは、我々も役所に入るとそれが法に触れる可能性が十分あるということでありますので、してはいけないとこう言われるんですけど、再度徹底をするということかなと思いますね。
(記者)すみません、たまたまかもしれませんが、今回処分を受けた方がお二人とも20代でまだ年次が浅いというか、という方だったんですけどそのことについて何か。
(知事)年齢は関係ないのかもしれないですけれども、やはり若い方に対してこういうことはしてもいい、してはいけないというのは常に言っておかなきゃいけないですね。入庁の研修でその話はしているはずなんですけれども、またそこが緩むといけませんので、繰り返しそれを言っていく必要があると思います。2案件とも確かに20代の人ですので、特に最初入ってこられた時にきちんと教育をし、研修し、さらに定期的にそれを研修しないと、やはり我々組織としてもそういう研修が十分にやれていないから今回のようなことが起こったのじゃないかというふうに言われますから、そこは対応をしっかりやっていきたいと思います。
(記者)あと、もう1点。人事課さんの話だと二人ともだと思いますが、なかなか仕事を抱えて周りに相談しにくかったというふうにも言っているということでしたけれども、そのあたりの改善策等ありますか。
(知事)これは課長の仕事のやり方になるわけですけれども、民間でもありますが仕事を抱えてしまって、例えば配付しなきゃいけないものがたくさんあって、それを配付しないで捨ててしまうという事例は結構あります。その時にやっぱり相談できる体制っていうのが大事ですので、今、週に1回は課内会議を開いてもらってると思いますけど、その頻度を上げるとか、あるいは悩んでいるような職員を見かければ、そこに対して声をかけて大丈夫かということをやっていくという普段からの対応。そして組織としては課内会議を何回やっているかとか、そこでどういうふうな自由な意見をどう出せるか、そういう雰囲気づくりというのも大事かなと思います。
○合計特殊出生率の低下
(記者)これも昨日コメントを出していただきましたけども、改めて昨年度の出生数の減少を受けて、受け止めと県としての対策、国に求めることを含めて何かありましたら。
(知事)昨日、国で発表されました合計特殊出生率でありますけれども、国全体としては1.15ということで、去年の1.20より0.05ポイント下がっています。三重県もポイント数は同様でありますけれども、去年が1.29でございましたが、1.24ということで出生率は下がっています。昨日コメントを出させていただきましたが、我々、三重県では全国に先駆けて令和5年の8月に人口減少対策方針を決めました。この時に人口減少はすぐには止まらないと。おそらく将来的にも止まるのは難しい。その予測どおりという形でどんどんどんどん下がってきているということであります。特に出生率、出生数も随分少なくなってきてますが、出生率で言うと東京が去年0.99だったものが0.96になっています。多くの人が社会増ということで東京に入っていくわけですけど、そこでの出生率が下がっているということですから、日本全体で見ていただければ、東京に地方から人が集まっていって、そこで出生率が低い状態を作り出している、あるいはそれが現出している、現にそうなっているわけですから、日本全体としても人口問題としては何らかの手当てを考えなきゃいけないということになっていると思います。従って、昨日のコメントでも申し上げましたけれども、県としてはやることは今、手を打っているつもりです。例えば、女性が多く県外に出ていってしまうというのは、女性が働きやすい環境づくりをする、そして、子育て環境についても各市町も努力をしていただいてますけれども、子どもを育てやすい環境をつくる、さらには子どもが、出生率が上がるためには出会いの場が大事ですので今年度からAIを使いました出会いのサポートのシステムを入れるということで、県としてやるべきことはやらしていただいている。また、Uターン、Iターンで戻ってきていただけるような仕組みも導入をしています。例えば、三重県から高校生が大学、他の県に行くのに出ていった時に三重県の情報をお渡しをするということもやっています。あとは東京一極集中をどうするかというのはとても大きな課題ですので、これは国がやってもらわないといけないですよね。例えば、東京は水道料金を下げるということを発表されました。東京を住みやすいとこにしていくという、これは東京都としては当然とまで言うかどうかはあれですけど、方針としてあり得るんだと思いますけど、本当にそれでいいのかと。東京一極集中が是正をされないで、逆に助長という言い方は、東京都は心外かもしれませんけど、されるんじゃないかというおそれがありますので、そこは国にさばいてもらうしかないんじゃないかと。それで、三重県としては、国に人口減少対策庁のような組織をつくって対応をしてほしいということをお願いをしているわけです。例えば今回、石破内閣肝いりで防災庁をつくろうとされています。これ、大事なことだと思います。やはり災害大国日本としては、命を守るために防災庁というのをつくって、そこで専門的に仕事をしてもらう、方針を出してもらう、大事だと思います。人口減少対策も同じぐらい大変なことになっていますので、霞が関にそういう役所をつくると、そこの役所に配属された人というのは働きます。働くとどういうやり方が大事なのかということが分かってくると思います。ぜひそういうことをやってくださいということも昨日のコメントにも書かせていただき、これは全国知事会にも私ども三重県から発信をしているところであります。
(記者)この際なので、改めてお聞きしたいなと思うんですけれども、よく知事がおっしゃってる人口減少対策省庁、まあそういう組織というか、具体的に何をする省庁なのかということを教えていただきたいのと、今の省庁の体制にどんなところがあって、こういう問題が起こっているのか、そのあたりを教えてください。
(知事)人口減少対策を専門的に扱う省庁というのは今国にはないですよね。こども家庭庁はありますけど、人口減少対策って子ども家庭、子どもの問題だけじゃないんですよ。大きいのはやっぱり雇用の問題。我々作りました人口減少対策方針を見ていただくと分かりますけれども、雇用の問題であったり、インフラ整備の問題であったり、多岐にわたるわけです。霞が関の各役所全体にわたる問題なので、それを束ねる役所が必要だということでありまして、担当大臣、これ一人置いても実はだめなんですね。内閣府に室を設けてもなかなか機能しません。独立した役所を設けて、その役所が防災庁と同様で、今防災庁の議論も出てますけれども、各役所に勧告をする必要があります。例えば、雇用政策であれば、経産省もそうですし、それから国土交通省もそうですし、農林水産省もそうですし、そういったところに対してこういうふうにするべきだっていう勧告をする必要があると思います。それから、東京に集中している企業を地方に分散をするという方針があるのであれば、何が問題なのか、どういう手段を使えばそれができるのか。例えば、税制を使ってそれをやるというのもあるかもしれませんし、インセンティブ補助を作るというのもあるかもしれません。それであれば財政の問題であり、税制の問題でありますから、財務省、総務省、そこに対して指示をするということも必要なのかもしれません。そういったものをパッケージで考える必要があるんじゃないかなというふうに思います。ドイツはEUの今の委員長やっておられるフォン・デア・ライエン氏が大臣だった時にそういう方策を打ち出されて、合計特殊出生率が5年間であったかと思いますけれども、上昇をしたという実態があります。今そういうことをやらないと手遅れになってしまうんじゃないかという気がしています。また、労働力という意味で言いますと、GDPをどうするかというのは人口減少と並んで議論されますので、同じような課題だとした時に、例えば外国の方、の前に、働きたいという意欲を持っている女性が働きやすい環境をどうつくるのかというのも大事ですし、それから、外国の方、労働力をどう使うかということも考えないといけないというふうに思います。例えば、外国の方はどう働いていただくかと考える時に、まずは厚生労働省で考えますけれども、実際に職業に就いていただくのは各役所でありますし、それから入国管理という意味では法務省も関係してきます。多くの役所が関係するので、そういったところに指示を出す役所が要るんじゃないかなということで、裏を返しますと、人口減少対策庁というようなものをつくった時にやっていただく仕事というのは、今申し上げたような仕事をしていただくということになると思います。
(記者)この人口減少対策でよくある、東京都についてなんですけども、一極集中しているということでかなり減っているということで、東京都かなり言われていると思うんですけれども、東京都は結構頻繁に、そもそも一極集中と出生率の低下に因果関係がないと、そういうふうに反論していることが多々あるんですけれども、そのあたりについて改めて、その因果関係はどのように。
(知事)因果関係がどうかという議論をするのがメリットがあるかどうかということなんですけど、合計特殊出生率は東京が低いという数字が出てるわけですね。実はこれ、他の国でもそのようですが、例えば韓国で言うと去年の数値ですが、韓国全体で0.72でしたかね。ソウルが0.55で釜山が0.66で、都会に行くと出生率は減ります。これは因果関係を議論するメリットがあるかどうかということも含めて議論した方がいいんですけど、いずれにしても実態としては、東京の合計特殊出生率は0.99から0.96に減っているということで、東京に多くの人が集中して、人口という観点からメリットがあるかどうかっていうのを考えないといけないと思います。地方に行っていただければ、出生率は東京より高いわけですから、日本の人口は今のような形で減るということはないと思われますので。ですから、そういう方策を考える必要があるんじゃないかなということですね。
○クマ出没件数の増加
(記者)クマの関係でお伺いしたいんですけれども、先日の環境省の調査でもクマの数がかなり増えているということで、一方でこの辺のクマは保護動物に指定されていたりとかする中、駆除が難しかったりして、去年はけが人が出たりということがありまして、改めて今後、県としてどのような方針転換を図っていくのかお考えを教えてください。
(知事)今、クマの関係で言うと、令和7年が5月末の段階で目撃件数が7件と、令和6年は11件でしたので、それに比べれば減ってるんですが、令和5年は1件でしたから、令和5年に比べると令和7年は数が増えていると、こういうことになるわけですね。今、ゾーンによる管理をしてて、集落、農地のようなところは被害防止ゾーンということで、ここに入ってきたクマを駆除をすると。それから緩衝ゾーンというのを設けて、ここは防護柵を設置したり、注意喚起をしたりすると。クマが生息している生息保護ゾーンというのもあって、ここは狩猟禁止などをやっているわけですね。このゾーンの設定をどうするかということだと思います。5月27日に県の審議会で議論していただいたんですが、甲論乙駁でまだまとまってないということで、引き続き議論していただくということです。大事なことは、クマの保護を徹底するあまり、クマによる被害を人間が受けるということがあってはいけないということなので、そういう方向で議論をしていただくということになると思います。
(記者)今の関連でなんですけれども、審議会の中では、今、希少野生動物、動植物種にツキノワグマを県は指定していますが、その解除も提案されましたが、委員さんたちの中では今すぐの解除には慎重な意見が多かったものですけれども、知事としてのその点に関するお考えはいかがでしょうか。
(知事)そこは専門家の声も聞きながら、先ほど申し上げたように、保護しなきゃいけないということはあるとは思いますけど、クマと人間って共生できるかと言うと、他の動物とはやっぱり違うと思いますね。その時に、最終的にはご意見がまとまらなかったとしても、判断をしなきゃいけない時期ってのは来るんだと思います。要するに守らなきゃいけないのは人間の命なので、そこをどう守っていくかってことだと思いますね。
○防災庁の誘致
(記者)さっき防災庁ってお話があったと思うので教えていただきたいんですけれども、昨日、有識者会議の方で、各省庁への勧告権だったり専任大臣の配置だったり、そういうことを含めるように話があったみたいなんですけれども、県として防災庁、仮に今後ある程度政府の方の方針が決まったりとかした際に誘致するとかそのあたりお聞かせいただければ。
(知事)防災庁そのものはおそらく地方には来ないと思います。東京に設置されるんだと思いますけど、地方支分局をつくる可能性がありますので、我々としてはそういう検討はしていきたいと思ってはいますけどね。
(記者)検討は、地方の支分局のことを検討していく。
(知事)三重県に地方支分局をつくっていただくというのはあり得るんだと思います。
(記者)仮にそれを誘致するってなった際も、何をどう政府に対してアピールみたいなのか、たぶんこれからになると思うんですけれども。
(知事)そうですね、タイミングがあると思いますので、手を上げることを考えていくべきだと思いますね。
(記者)どういうところをアピールしたら強みになると思いますか。
(知事)その地方支分局の役割ですけれども、例えば被災地の最前線に近いところに設けた方が実情とかも分かるというのはあると思いますので、そういう意味では、三重県に一応支分局をつくってもらうというのはあると思いますね。
(記者)被災地というのは、やっぱり基本的には南海トラフをある程度想定されている。
(知事)そうですね、南海トラフですね、実際に被災した時に前線基地にもなるでしょうから、そういった意味でつくっていただくというのもあり得ると思いますが、どういった形で防災庁をつくるかというのは国で決められるんで、それに沿う形で手を上げていくことを検討したいとは思ってます。
(記者)その他いかがでしょうか。よろしいですか。では、第二県政記者クラブから発表項目も含めて質問がありましたら。
(記者)特に大丈夫です。
(記者)よろしいですか。では、記者からの質問は以上です。
(知事)ありがとうございました。
了