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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第240号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年6月10日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「県内に立地する工場の土壌汚染に関するすべての文書等」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成17年6月21日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書は、「土壌汚染・地下水汚染の事案に関する分析結果」(以下「本件対象公文書」という。)である。

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。

(1) 条例第7条第2号(個人情報)に該当

 本件対象公文書のうち、(ア)「水質検査成績書」における検査責任者の氏名及び印影並びに「報告書」における検査機関の担当者の姓、(イ)「事業所報告書」における事業所の工場長の印影及び「調査結果表」における事業所の担当者の印影、(ウ)「濃度計量証明書」における環境計量士の個人の印影、(エ)「濃度計量証明書」における計量(分析)機関の社長の個人の印影、(オ)「濃度計量証明書」における計量(分析)機関の担当者の氏名又は姓及び印影、(カ)「濃度計量証明書」における事業場の担当者等の姓及び印影、(キ)「濃度計量証明書」及び「事業所内の施設配置図」における試料採取先の個人事業所名は、個人に関する情報であって、開示することで、個人が特定され、その権利利益が害されるおそれがあるため、非開示とした。

(2) 条例第7条第3号(法人情報)に該当

 本件対象公文書のうち、(ク)「事業所内の施設配置図」における施設名、施設配置、数値、寸法は、法人に関する情報であって、開示することにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるため、非開示とした。

5 異議申立て理由

 企業の施設配置平面図は、土壌汚染の源因(ママ)となった施設の特定に必要不可欠である。計量証明書の有資格者の氏名・印影は、証明書の真正の担保にとって必要不可欠である。企業担当者や企業に於ける当該汚染に係る報告書等の決裁印は、汚染の事実を公表していることから何ら秘匿する必要はない。

 それよりも情報全体の量や質、その後の法・条例に基づく追跡や改善の経緯を盛り込むべきであるのに、それがかけていることに問題がある。非開示部分は微細な口実に過ぎない。

 個人情報や法人情報であっても、人の生命・身体等を保護するために公にすべきである。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。

 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないことととしている。

(3) 条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示とした情報は、上記4(1)の(ア)から(キ)までに掲げる情報である。

 まず、上記4(1)の(ア)から(オ)までに掲げる情報の本号該当性については、法人の役員及び従業員の氏名又は個人の印影は、一般的には個人に関する情報であって特定の個人が識別され得る情報として非開示情報とした実施機関の主張も理解できないわけではない。しかし、本件対象公文書のうち「水質検査成績書」、「報告書」、「事業所報告書」、「調査結果表」及び「濃度計量証明書」は、人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境に重大な影響を与えかねない土壌汚染又は水質汚染の状況を示すものであり、これらの文書の作成(測定及び検認を含む。)を誰が責任を持って行ったかについての情報もまた、本号ただし書ロに規定する「人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当し、開示すべきものと認められる。

 よって、本決定において上記4(1)の(ア)から(オ)までに掲げる情報を本号本文に該当すると解して非開示とした実施機関の判断は妥当でない。

 次に、上記4(1)の(カ)に掲げる情報は、計量(分析)機関から土壌汚染又は水質汚染のあった事業所へ提出された「濃度計量証明書」における当該事業所の担当者等の姓及び印影である。これらの担当者等は当該「濃度計量証明書」の作成に関わっておらず、その作成に関し何ら責任を有するものではないから、本号ただし書ロに該当するとは認められない。また、本号ただし書イに規定する「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当するとも認められない。

 よって、本決定において上記4(1)の(カ)に掲げる情報を本号に該当すると解して非開示とした実施機関の判断は妥当である。

 また、上記4(1)の(キ)に掲げる情報は、実施機関の説明によれば、地下水汚染の届出があった事業所の外部で試料を採取した井戸の位置を示すために記載された個人事業所の名称であり、これを開示することにより井戸の所有者個人が識別できるものである。地下水汚染の状況に関する情報であるから、開示の必要性は認められるものの、地下水汚染の届出があった事業所とは異なる事業所の名称であることから、本号ただし書ロに該当するとは認められない。また、本号ただし書イに該当するとも認められない。

 よって、本決定において上記4(1)の(キ)に掲げる情報を本号に該当すると解して非開示とした実施機関の判断は妥当である。

(4) 条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。

 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に公開が義務づけられることになる。

(5) 条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示とした情報は、上記4(2)の(ク)に掲げる情報であり、実施機関は、当該情報を開示すると、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると主張している。

 まず、法人の事業所内における施設の名称については、確かに、当該法人の生産、技術、販売、営業等の情報であって、これを非開示とした実施機関の主張も理解できないわけではない。しかし、実施機関が非開示とした情報を当審査会がインカメラ審理により見分したところ、①施設の名称又は敷地の利用に関する情報であって当該事業所の外部から見て明らかに判別できるもの、②建物の総称又は単に序数を付した建物の名称、③従業員の福利厚生施設の名称など明らかに法人の生産、技術、販売、営業等に関わらない情報が認められた。これら①から③までの情報は、開示することにより当該法人の正当な利益を害するとは認められないことから、本号に該当せず、開示すべきである。これら①から③まで以外の情報は、法人の生産、技術、販売、営業等の情報であって、開示することにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められ、また、施設配置図における試料採取場所は開示されていることから、本号ただし書の規定により公にすることが必要であるとも認められず、非開示が妥当である。

 また、法人の事業所内における施設の配置、施設の床面積を示す数値、あるいは施設間の距離を示す寸法については、上記のとおり、当該法人の生産、技術、販売、営業等に関わる施設の名称を非開示とすることから、その配置、数値あるいは寸法を開示しても、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないことから、本号に該当せず、開示すべきである。

(6) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
17. 8. 2 ・諮問書の受理
17. 8. 5 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
17. 9. 2 ・非開示理由説明書の受理
17. 9. 8  ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
18. 5.19 ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議                
(第246回審査会)
18. 6.16 ・審議                
(第247回審査会)
18. 7.21 ・審議
・答申                
(第249回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
※委員 竹添 敦子 三重短期大学教授
(平成18年5月31日退職)
※委員 藤野 奈津子 三重短期大学講師
(平成18年6月1日任命)
※委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
委員 伊藤 睦 三重大学人文学部助教授
委員 渡辺 澄子 元三重中京大学短期大学部教授
委員 樹神 成 三重大学人文学部教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
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