三重県の海面養殖業では、小規模な個人経営体が多く、収益性の低下や後継者の不足など、年々、経営環境が厳しさを増しています。これに加えて、大雨や強風、津波などの自然災害で生じる養殖施設や養殖生物の被害は、多くの養殖業者にとって経営的に大きな負担となります。
わが国では、近年襲来する台風が大型化の傾向にあることや、大雨による甚大な被害がもたらされるなど、自然災害が激しさを増しています。また、将来の予測として、地球温暖化による気候変動に伴い、台風などの熱帯低気圧の強さがさらに増す可能性が指摘されています。そのため、風水害や小規模な津波に適切に備え、養殖施設が受ける被害を小さくする「減災」の対策を講じることが、今後ますます重要になってきます。
本ガイドラインでは、風水害等による養殖施設の被害を最小限とするため、第1章で、施設の日常的な点検・管理のポイントと養殖業種別の具体的な取組等のソフト対策についてまとめました。第2章では、筏式施設(主に魚類養殖)の減災対策として、漁場における施設の最適な配置や構造の改良等のハード対策について解説しました。
養殖業者の皆様には、施設の減災に向けて、風水害や小規模な津波に適切に備えるため、本ガイドラインをご活用いただけば幸いです。
養殖施設の減災ガイドライン(令和2年3月)