三重県教育委員会では、インターネット上での人権侵害や誹謗中傷等から児童生徒を守るため、「ネットパトロール」を実施するとともに、アプリ「ネットみえ~る」を運用しています。8月31日までの件数と対応状況は次のとおりです。
1 ネットパトロールの状況について
新型コロナウイルス感染症に係る人権侵害や誹謗中傷等から児童生徒を守るため令和2年5月15日
からネットパトロールを毎日(平日)実施しています。検知された書き込みは、リスクに応じて4つの
レベルに分類し、その日のうちに委託業者から三重県教育委員会に報告されます。県教育委員会では報
告内容を確認のうえ、学校や関係機関と連携して対応しています。
(1)検知した件数
児童生徒が感染したことや、児童生徒の学校外での活動などに関する書き込みが44件検知されて
います。リスクレベルはすべて4段階のうち最も低いリスクレベル低です。
[検知した例]
・「〇〇(学校)ってよ 近いなぁ怖いなぁ」
・「〇〇(学校)って聞いたけど〇〇ってどこよ」
・「〇〇(学校)の生徒とかやばいでしょ、〇〇通りの〇〇(店舗)とか普段よく行くけど危ない
な!!」
・「昨日の中学校はどこなんですかね?自宅前に中学校あるんでビクビクしてます・・・。」
・「近所の子が〇〇(感染者が確認された市町名)のイベントに参加してた。もう嫌だ。」
・「〇〇(学校)に通う、おガキ共が・・・・・・奇声を上げ遊んでいます。」
(2)検知した書き込みに係る対応
44件の中に、いじめにつながるようなものや個人が特定される書き込みはありませんが、新型コ
ロナウイルスの感染者が確認された学校に関する書き込みが多数検知されています。その多くは、ど
の学校で感染者が出たのか、近所で感染者が出たことが怖いなどの感染者情報に関する書き込みで
す。
県教育委員会では市町教育委員会と学校に情報共有し、その書き込みから誹謗中傷や人権侵害につ
ながる書き込みなどが広がっていかないか該当のサイトを継続して注視すること、正しい情報を発信
するなどの対応を依頼しました。また、インターネットやSNSを利用する際の個人情報の取り扱い
や情報モラルについての指導を徹底するよう依頼しました。
2 アプリ「ネットみえ~る」の状況について
SNSで児童生徒に関わるいじめや不適切な書き込みを発見した場合に、その書き込みをスクリーン
ショットで撮り、その画像や被害にかかる情報を投稿できるアプリ「ネットみえ~る」を令和2年6月
23日から利用開始しています。
(1)ダウンロードと投稿について
アプリのダウンロード数は2,597件となっています。投稿は31件ありますが、そのうち、子
どもに関わる投稿は15件です。緊急を要する投稿については児童生徒の安全の確認、心のケアを最
優先に、家庭、学校、市町教育委員会、場合によっては警察等の関係機関と連携して対応します。い
じめや不適切な書き込みに関わる投稿についてはアプリ上で相談窓口を紹介するとともに、投稿者が
希望する場合には、紹介した相談機関に投稿された情報を共有します。また、市町教育委員会と学校
に情報共有し、事実確認のうえ、被害児童生徒を守る対応をとるとともに、加害児童生徒が特定され
た場合は、加害児童生徒に対して指導します。
(2)子どもに関わる投稿の主な内容と対応
①LINEのタイムラインに周りの人に対する不満と、そのことで葛藤したり、死にたいと思った
りすることを書き込んでいるものを見つけた大人が心配して投稿
⇒市町教育委員会と警察に情報共有しました。市町教育委員会が当該児童生徒の登校状況や児童
生徒の様子について確認しました。学校は引き続き市町教育委員会とも情報共有しながら、学
校全体で見守る体制を整え、家庭とも連携しながら丁寧に対応していくこととしています。
②LINEで容姿を馬鹿にするなどの悪口を送られて嫌な思いをしていると本人からの投稿
⇒市町教育委員会と学校に情報共有し、状況を確認するとともに対応を依頼しました。学校が事
実確認のうえ、被害児童生徒から聴き取りを行い、加害児童生徒に対して指導するとともに、
被害児童生徒の見守りをしています。
③Twitterで同じ人から執拗にコメントが送られてくるなどの被害にあっていると訴える投
稿
⇒投稿者はアプリ内で紹介している相談窓口「24時間子どもSOSダイヤル」(県教育委員会
が対応している相談窓口)に相談しました。そこで「県警相談窓口」を紹介し、居住地を所管
している警察署が対応しています。
3 偏見やいじめ・差別をなくすための取組
(1)人権学習指導資料「なくそう!新型コロナウイルスに係る偏見、いじめ・差別」
児童生徒が不確かな情報に惑わされず、新型コロナウイルス感染症に係る偏見やいじめ・差別に気
づき、それらをなくすための行動がとれる力を身につけるよう、人権学習指導資料を令和2年5月に
作成し、県内の全ての小中学校、高等学校、特別支援学校に配付しました。児童生徒の発達段階に応
じた学習内容とするとともに、短時間でも学習が行えるなど、各学校の実態に合わせて活用できるよ
うにしています。
(2)在宅学習用動画「新型コロナウイルスに負けない!~差別や偏見をなくすために~」
日本赤十字社の資料を基に、病気への恐れが不安を生み、不安が差別を生み、差別を恐れることが
感染拡大につながるという「負のスパイラル」を発生させる仕組みを学び、差別や偏見をなくすため
にできることは何かを考える在宅学習用動画を作成しました。令和2年5月から県教育委員会のホー
ムページに掲載しています。
(3)ネットリテラシー教育
児童生徒が適切にインターネットを利用し、いじめなどの被害者にも加害者にもならないよう、平
成30年度までは、県教育委員会作成の指導教材「みえネットスキルアップサポート」を活用した授
業や、県が委嘱したネット啓発リーダーによる保護者向けの啓発講座を実施してきました。令和元年
度からは、それらの教材や資料をホームページに掲載し、実態に合わせていつでも学校が活用できる
ようにしています。
今年度は大学生に協力してもらい、インターネットの適正利用講座を小・中・高等学校で実施する
予定です。