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海女習俗

 三重県教育委員会は、平成22~25年度にかけて、鳥羽・志摩で海女習俗の民俗調査を行いました。その結果、鳥羽・志摩の海女漁には、「女性の素潜り漁が継続されてきた歴史」、「漁場を識別する能力」、「伝統的な漁具を継承し、男女の役割分担を生み出す地域性」、「地域社会が、海女の存在を許容するとともに海女を職業として認めている」、「古代から続く伊勢神宮と地域との関係」といった部分に特色があることがわかりました。
 このような、「民俗知識」、「信仰」、「資源管理」、「潜水技術」といった民俗技術が、県指定文化財にふさわしいとして、平成26年1月23日に、全国で初めて県無形民俗文化財に指定されました。



 



 

海女について

「海女」とは一般に、海に潜って貝や海藻などを採る職業の女性のことです。海女は、獲物が採れる場所などを選り抜く目を持っています。例えば、船の上から周辺の島や山の位置から、潜る場所を判断し、海に浮かぶブイなどの流れを見て、潮の流れを読み取っています。
 海の中では、海底の石が重なった所や、岩場のすき間などを見て、獲物の有無を判断しています。海の中の様子は、海女にしかわからないものです。

鳥羽・志摩の海女漁の歴史

 海女漁はいつ頃から行われていたのでしょう。縄文時代の鳥羽市浦村の白浜遺跡からは、アワビの貝殻などが出土しています。アワビは、海に潜らないと採れないので、素潜り漁があったのではないかと考えられています。
 奈良の平城京に運ばれた貢納物の荷札には、現在の志摩市大王町波切から、西暦745年にアワビが都へ運ばれたことが記されたものがあります。また、『万葉集』でも、大伴家持や山上憶良が、海女漁の様子を歌に詠んでいます。

 

海女の漁獲物

 鳥羽・志摩の海女漁では、アワビをはじめ、サザエ、トコブシ、イワガキ、イセエビ、ウニ、ナマコ、アラメ、ヒジキ、テングサなどを採ります。アワビの大きさが10.6cm以下のものを採取制限したり、種苗の放流など、資源の監理もも積極的に行っています。

鳥羽・志摩の海女漁の方法

 鳥羽・志摩では、次の3つの海女漁の方法があります。

【フナド】

夫婦や親子などの男女の組み合わせで船に乗り、男性が滑車を使って、綱で女性を引き上げるなどの
共同作業で漁を行うもの。

【ノリアイ】 1隻の船に複数の海女が乗り合わせ、各漁場にわかれて漁を行うもの。
【カチド】 海女が陸地から泳いでいって漁を行うもの。

 

海女漁の道具

 鳥羽・志摩の海女は、さまざまな道具を使って、漁を行います。
 

イソメガネ

タンボ

カギノミ

 海女が目を保護するために着ける水中メガネ。ガラスのくもり止めのために、ヨモギなどの葉を揉んで表面を拭きます。

 獲物を入れるウキワがついた網かご。海上に浮かべることにより、海女がその場所で潜っている目印にもなります。

 

 
 鉄やステンレスで作られた獲物を獲るための道具。片側がヘラで岩に貼りついたアワビなどをはがし、もう片側は、鉤の手になっていて、ウニなどをひっかけて、捕まえます。

 
























 

鳥羽・志摩の海女漁の現状

  鳥羽市と志摩市で、平成22年に978人の海女が活動していましたが、平成26年の鳥羽市海の博物館による調査では、761人という結果も出ています。高齢化により漁を引退したり、後継者の不足により、その数が年々減少していくのが懸念されます。
 現在の鳥羽市と志摩市では、28地区で海女漁が行われており、女性だけでなく、男性も素潜り漁に従事しています。
【海女漁が行われている地区】
 鳥羽市
  小浜、神島、答志、和具浦、桃取、菅島、安楽島、浦村、石鏡、国崎、相差、畔蛸、千賀、千賀堅子
 志摩市
  安乗、国府、甲賀、志島、畔名、名田、波切、船越、片田、布施田、和具、越賀、御座、浜島


 

海女文化キャラクター 鳥羽志摩江さん

電子書籍「絵本で知る三重の文化財 海女のくらし」 

 電子書籍の公開ページからダウンロードできます。
  
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本ページに関する問い合わせ先

三重県 教育委員会事務局 社会教育・文化財保護課 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁7階)
電話番号:059-224-3322 
ファクス番号:059-224-3023 
メールアドレス:shabun@pref.mie.lg.jp

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