海女について
「海女」とは一般に、海に潜って貝や海藻などを採る職業の女性のことです。海女は、獲物が採れる場所などを選り抜く目を持っています。例えば、船の上から周辺の島や山の位置から、潜る場所を判断し、海に浮かぶブイなどの流れを見て、潮の流れを読み取っています。
海の中では、海底の石が重なった所や、岩場のすき間などを見て、獲物の有無を判断しています。海の中の様子は、海女にしかわからないものです。
鳥羽・志摩の海女漁の歴史
海女漁はいつ頃から行われていたのでしょう。縄文時代の鳥羽市浦村の白浜遺跡からは、アワビの貝殻などが出土しています。アワビは、海に潜らないと採れないので、素潜り漁があったのではないかと考えられています。
奈良の平城京に運ばれた貢納物の荷札には、現在の志摩市大王町波切から、西暦745年にアワビが都へ運ばれたことが記されたものがあります。また、『万葉集』でも、大伴家持や山上憶良が、海女漁の様子を歌に詠んでいます。
海女の漁獲物
鳥羽・志摩の海女漁では、アワビをはじめ、サザエ、トコブシ、イワガキ、イセエビ、ウニ、ナマコ、アラメ、ヒジキ、テングサなどを採ります。アワビの大きさが10.6cm以下のものを採取制限したり、種苗の放流など、資源の監理もも積極的に行っています。
鳥羽・志摩の海女漁の方法
鳥羽・志摩では、次の3つの海女漁の方法があります。
【フナド】 |
夫婦や親子などの男女の組み合わせで船に乗り、男性が滑車を使って、綱で女性を引き上げるなどの |
【ノリアイ】 | 1隻の船に複数の海女が乗り合わせ、各漁場にわかれて漁を行うもの。 |
【カチド】 | 海女が陸地から泳いでいって漁を行うもの。 |
海女漁の道具
鳥羽・志摩の海女は、さまざまな道具を使って、漁を行います。、
鳥羽・志摩の海女漁の現状
鳥羽市と志摩市で、平成22年に978人の海女が活動していましたが、平成26年の鳥羽市海の博物館による調査では、761人という結果も出ています。高齢化により漁を引退したり、後継者の不足により、その数が年々減少していくのが懸念されます。現在の鳥羽市と志摩市では、28地区で海女漁が行われており、女性だけでなく、男性も素潜り漁に従事しています。
【海女漁が行われている地区】
鳥羽市
小浜、神島、答志、和具浦、桃取、菅島、安楽島、浦村、石鏡、国崎、相差、畔蛸、千賀、千賀堅子
志摩市
安乗、国府、甲賀、志島、畔名、名田、波切、船越、片田、布施田、和具、越賀、御座、浜島