伊勢湾貧酸素情報
平成13年度貧酸素情報
(第3報)
平成13年7月10日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
三重県側沿岸から湾奥部にかけての底層にDO2ppm以下の貧酸素水塊が広く分布。前回調査時に比べ,貧酸素水塊は三重県側に偏って分布していた。
7月9~10日の調査船「あさま丸」の浅海定線観測によると,伊勢湾の表面水温は22.2~26.3℃,10mでは18.6~20.5℃,底層では16.0~22.0℃の範囲にあった。表面では湾中央部~湾奥部でやや高め~高め,湾口部でやや低め,10mでは湾全域でやや低め,底層では湾口部及び湾中央部三重県側沿岸でやや低めの他はほぼ平年並であった。
表面塩分は22.82~31.89,10mでは32.29~33.48,底層では29.75~34.14の範囲にあった。表面では湾全域でかなり高め,10m及び底層では湾全域高めであった。
DO(溶存酸素量)は表面では6.0~12.5ppm,10mでは3.0~6.1ppm,底層では0.1~5.4ppmの範囲にあった。表面では湾中央部~湾口部でかなり低め,湾奥部で平年並,10mでは湾奥部で低めの他は平年並,底層では三重県側沿岸~湾奥部で低め,愛知県側沿岸で平年並~やや高めであった。今回の観測では湾奥部でサラシオシラ,スケレトネマを優占種とする赤潮が確認された。
別添の底層の塩分分布図をみると,外洋系水が愛知県側に沿って伊良湖水道から湾中央部に進入していることがわかる(図の矢印)。この外洋系水の影響で,湾内底層に広く分布していた貧酸素水塊が湾奥部から三重県側沿岸に押し込まれたため,こららの海域の貧酸素化が顕著になったと考えられる。一方,底層に外洋系水が進入した愛知県側では,貧酸素水塊が中層に持ち上げらる,いわゆる中層貧酸素水塊が形成されていた。
現在,表層と中・下層の水温差は7~8℃前後あり,強い成層状態にある。大風を伴う台風等が来ない限り,底層に発達する貧酸素は解消されそうにない。今後,さらに貧酸素水塊の規模が拡大する可能性が高い。