伊勢湾貧酸素情報
平成16年度貧酸素情報
(第5報)
平成16年11月1日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
溶存酸素量2ppm以下の貧酸素水塊は,伊勢湾南部の三重県沿岸寄りに分布している。台風等の降雨による表層の塩分低下で上下混合が進行していないと見られる。今後気温の更なる低下と共に貧酸素水塊は解消に向かうと見られる。
10月26日の調査船「あさま」の定線観測によると,DO(溶存酸素量)は,表面で5.6~7.8ppm,10mで2.3~6.2ppm,底層で1.0~6.3ppmの範囲にあった。
表面では平年より低め,10mで平年並みから低めであった。底層では三重県側の沿岸寄りの観測点St.4,9,16,Bで平年より低かった他は,平年より高めであった。
底層で2ppm以下の貧酸素水は,松阪市から鳥羽市にかけての三重県沿岸部に依然分布していた。
今月の観測は,調査前の8月30~31日に九州から日本海側へと通過した台風16号による強風や降雨等の影響と見られる表層付近での塩分低下や鉛直混合が見られ,特に三重県側では湾口部においても顕著であった。
観測前に台風23号が10月20日大阪湾へ上陸後21日にかけて東日本を横断した。伊勢湾全域でその降雨等の影響と見られる表層付近での塩分低下が見られていた。
9月末から10月中の大量の降雨によって陸域からの有機物が大量に伊勢湾内に流入しているものと推察される。表層の低塩分傾向もしばらく続くと見られるが,これからは気温の低下と共に成層構造が崩れて鉛直混合が進み,残された貧酸素水塊は解消に向かうと考えられる。