伊勢湾貧酸素情報
平成16年度貧酸素情報
(第7報)
平成16年12月20日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
溶存酸素量2ppm以下の貧酸素水塊が,伊勢湾奥の中央部で観測されたが一時的なものと見られる。伊勢湾は記録的な高水温で局所的に貧酸素状態が発生しているが一時的なもので,全体としては解消に向かっている。
12月3日の調査船「あさま」の定線観測によると,DO(溶存酸素量)は,表面で6.3~8.2ppm,10mで3.1~7.3ppm,底層で1.4~7.4ppmの範囲にあり,全般に平年より低めであった。
白子沖のSt.5の底層で1.4ppmと貧酸素状態が観測され,St.2(名古屋港前)で3.6ppm,St.4(白子港前)で2.9ppmと湾奥部にかけて低い値が見られた。
調査時の水温は,表面で16.8~18.6℃,10mで17.0~19.9℃,底層で17.2~20.9℃の範囲にあった。この値は表面で2.2~4.0℃,10mで2.2~4.4℃,底層で1.6~5.0℃も平年値を上回っており,全層にわたり平年より高めから非常に高めであった。
この貧酸素状態は,今夏秋季に降雨等によって陸上から大量に有機物が流入堆積し,平年よりも温暖な状況が続いたため一時的に発生したもので,鉛直混合により貧酸素状態が解消しつつある過程で観測されたと考えられる。
これからは気温の低下と共に鉛直混合がより一層進むため,一時的に発生した貧酸素水塊も解消に向かうと考えられる。