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平成20年08月05日

平成18年1月4日

イカナゴ情報(号外)

三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室

イカナゴの産卵期を迎えて,昨年6月以降イカナゴの主夏眠場である出山において実施した,夏眠魚の採集調査状況を中心にまとめた結果を報告します。

1.親魚の量

昨年6月以降の夏眠魚調査では比較的高い水準で夏眠魚が採集されています(図1)。昨年漁期当初の加入資源尾数は163億尾と推定され、平均値(約240億尾)を下回っていたと見られます。これは産卵開始期の1月上旬に伊勢湾口へ黒潮系暖水が波及し,水温が上昇したことにより産卵が中断したためと考えられます。漁獲尾数は三重県57.3億尾、愛知県77.4億尾の合計134.7億尾で、残存資源尾数は約28億尾と推定され、次漁期に向け十分な産卵親魚が残せたと考えられます(図2)。

出山におけるイカナゴ夏眠魚採集数の推移

図1 出山におけるイカナゴ夏眠魚採集数の推移

産卵時の親魚量

図2 産卵時の親魚量

2.親魚の年齢構成

親魚の栄養状態は仮眠開始期(夏季)までに決定され、その後の産卵量に大きく影響します。図3に2005年における夏眠魚の体長組成を示しました。この図から,今年の夏眠魚のほとんど(約97%)は体長6.5~9cmの0歳魚(2005年生まれ、年明けて1歳魚)が占めています。今産卵期はこの0歳魚が産卵親魚の主体となります。

夏眠魚の体長組成

図3 夏眠魚の体長組成

3.親魚の栄養状態

図4に夏眠開始期のイカナゴの肥満度組成を示しました。今期の夏眠魚は調査開始以降最も肥満度が低く、痩せた個体が多いようです。我々の研究で、伊勢湾のイカナゴは夏眠開始までに肥満度が4.2以上確保できないと成熟できないことが分かっています。これによると今期の親魚は約25%程度(全体の4分の1)しか成熟しないと推定されます。

夏眠開始期の肥満度組成

図4 夏眠開始期の肥満度組成

4.推定される今期の産卵量

以上に述べた親魚の量、年齢組成、栄養状態をもとに、鈴鹿水産研究室で試算した今期の総産卵量は約1.1兆粒となります(図5)。これは平成12年(2000年)0.5兆粒、平成11年(1999年)0.7兆粒に次ぐ、近年では3番目に低い水準となります。

推定産卵量

図5 推定産卵量

5.まとめ

推定される今期の産卵量は,親魚量は多いとみられるものの、近年では最も低い水準になると見込まれます。
イカナゴ親魚の成熟は水温の降下と強く関係しています。一昨年末11~12月の伊勢湾海域の水温は観測史上最高水準で推移していました。一方、昨年の伊勢湾は11月までは気象の影響を受け平年よりも2℃程度高かったのが、12月に入り寒波の訪れとともに平年よりも2℃程度低めへと転じました。さらに沖合を流れる黒潮は一昨年までの大蛇行流路から直進流路へと変わり、熊野灘沿岸域の水温は平年より低め主体となっています。このため、イカナゴ親魚の成熟・産卵に影響を及ぼすような黒潮系暖水の波及は起こりにくくなっており、一昨年末よりもイカナゴにとっての環境条件は有利になっていると考えられます。また、夏眠期に入る時点でのイカナゴ親魚の栄養状態は非常に悪かったため、成熟・産卵については良くない可能性がありますが、愛知県水産試験場の11月から12月にかけての親魚調査では、・鼾Nよりも成熟は順調に進んでいるとの情報があります。今期は、水温の低下が順調なことや愛知水試の親魚成熟状況などから、産卵期は例年並と考えられますが、愛知水試が伊勢湾口で行った12月28日のイカナゴ仔魚調査では、ふ化仔魚の採集はまだありませんでした。今後の仔魚の発生動向等に注意を払う必要があると考えられます。
例年通り,愛知県水試と共同でイカナゴ仔魚分布調査を行います。情報が入りしだい,この後のイカナゴ情報でお知らせします。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 水産研究所 鈴鹿水産研究室鈴鹿水産研究課 〒510-0243 
鈴鹿市白子1丁目6277-4
電話番号:059-386-0163 
ファクス番号:059-386-5812 
メールアドレス:ise-bay0@pref.mie.lg.jp

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