平成19年1月18日
イカナゴ情報(H19-1号)
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
1月15~16日に伊勢湾全域において、イカナゴ仔魚の採集調査を実施しましたので,その概要を報告します。
図1に各測点における仔魚採集尾数を過去2年の同時期のものと比較して示しました。今回の調査で、イカナゴ仔魚はほぼ湾内全域で採集されました。
図1 ボンゴネットによるイカナゴ仔魚採集量(単位は尾/m2)
湾内全測点の平均採集尾数は228尾/m2で、仔魚が湾全域に拡散した時点の採集密度としては、昨年(1月中旬:176尾/m2)、一昨年(1月下旬:16尾/m2)を上回っています(表1)。
表1 ボンゴネットによる仔魚採集量(湾内全点平均値)
今回湾内全域で採集された仔魚の平均体長は5.7㎜で、愛知水試調査(1月5日、11日)で採集された加入第1群(体長4mm以下)と考えられます。湾口部における3mm台のふ化直後仔魚の採集量は愛知水試調査時に比べに少なくなっています(図2)。
1月17日に実施された親イカナゴの試験曳きの結果では、出山で81.5%、鯛島礁で93.0%の親魚が産卵済みでした。今後の調査では、仔魚の生残状況と後続群の加入状況に注意していく必要があります。なお、今年の伊勢湾の水温は平年よりやや高めとなっています。
図2 採集されたイカナゴ仔魚の体長組成
現段階では,仔魚の出現数は多いものの,湾内に多数分布しているイカナゴ親魚による共食いの心配や昨年同期と比較して海水温が高いなどの生残に不利な状況が見受けられます。海水温が高いと仔魚の成長速度は速くなります。また,後続群が見られていないため,昨年とは漁獲状況は異なってくると考えられます。
次回の調査(愛知水試実施)は18日に伊勢湾でのカイト式稚魚ネット、来週伊勢・三河湾全域でのボンゴネットで予定しています。データが整理でき次第、本情報にて報告します。