漁海況長期予報
2024年 4~7月までの予測
3月14~21日に、北海道から鹿児島県までの各都道県水産研究機関および水産研究・教育機構が海況・漁況に関する情報を持ち寄り、今後の見通しを立てましたので、その概要を紹介します。
(予測対象)海況および熊野灘のマイワシの漁況
海況
黒潮は大蛇行(A型)が継続するでしょう。
熊野灘沿岸の水温は「平年並」~「高め」で変動し、暖水波及時には「かなり高め」となる見込みです。
【解説】 3月下旬現在、黒潮は潮岬沖の30°N前後まで南下して、熊野灘~遠州灘沖をやや北上し、青ヶ島沖の31°N付近まで南下。S字状に北上し、青ヶ島及び御蔵島を通過して北東へ流出しています。 熊野灘沿岸の水温は「平年並」~「高め」で変動し、黒潮の接近や内側反流の波及など、暖水の影響が強まったタイミングで「かなり高め」となる見込みです。 |
マイワシ
14 ㎝以上の1歳以上が漁獲され、来遊量は前年並の低水準となるでしょう。
【解説】
2023年12月~2024年2月期の熊野灘の中型まき網による漁獲量は1.1トンと極めて低調で 前年同期を下回 り、同期過去10年平均を大幅に下回りました。
黒潮大蛇行は、今期も継続する見込みであり、黒潮北上部が石廊埼沖に接岸する流路に なると熊野灘への産卵 親魚の来遊は少なくなると予測されます。以上から、来遊量は前年並の低水準となるでしょう。
ウルメイワシ、さば類、マアジは新たな予報は出していませんが、最新の情報を付記します。
ウルメイワシ
15~20cmの1歳魚および20cm以上の2歳以上を主体に、来遊量は前年を上回るでしょう。
【解説】
2023年12月~2024年2月期の中型まき網による漁獲量は289トンで、前年同期(239トン)並で、同期過去
10年平均(890トン)を下回りました。漁獲主体は17~21㎝(被鱗体長)でした。一部が産卵に加わると予想
される明け1歳魚は、前期の漁況から前年を上回ると判断されることから、来遊量は前年を上回ると予測されま
す。
さば類
マサバは25~40cmの2歳以上を主体に30cm以下の1歳魚も漁獲され、来遊量は前年並の低水 準で推移するでしょう。ゴマサバは30~40cmの2歳以上を主体に漁獲され、来遊量は前年 並の低水準で推移するでしょう。
【解説】
2023年12月~2024年2月期の中型まき網によるマサバの漁獲量は1トンと期間を通じてまとまらず、前年同期
(6トン)、同期過去10年平均(2,836トン)を大きく下回りました。漁獲主体は、12月では23~25㎝(尾叉
長、以下同じ)、1月では25~28㎝でした。ゴマサバの漁獲量は242トンで、前年同期(171トン)を上回りましたが、同期過去10年平均(2,171トン)を大きく下回りました。漁獲主体は、12月では28~29㎝および31~33㎝、1 月では33~36㎝でした。
マサバの親魚量は、減少傾向ではあるものの高い水準となっています。しかし、少なくとも2024年1月までは黒潮続流(房総半島以東)が北偏する流路となる予測のため、来遊量は著しい不漁であった前年並の低水準と予測されます。ゴマサバは資源量が低水準であるため、今期の来遊量は低水準と予測されます。
マアジ
15~22cmの1歳魚を主体に、来遊量は前年並~下回るでしょう。
解説
2023年12月~2024年2月期の中型まき網による漁獲量は185トンで、前年同期(327トン)、同期過去10年
平均(225トン)を下回りました。漁獲主体は、12月では12~14㎝ (尾叉長、以下同じ)および22~23㎝、1
月では14~16㎝および19~22㎝、26~28㎝でした。 7~11月の漁況から、まき網で漁獲される0歳魚は前年を
下回っており、今期漁獲主体となる1歳魚は前年並~下回ると予測されます。
※ 次回の漁海況長期予報は、7月下旬頃(未定)に2024年8~12月の予報を行う予定です。
参考サイト
我が国周辺の水産資源の現状を知るために(資源評価結果や各海域の長期予報が掲載されています)