伊勢湾貧酸素情報
平成20年度貧酸素情報
(第3報)
平成20年10月6日
三重県水産研究所 鈴鹿水産研究室
溶存酸素量2ppm以下の貧酸素水塊は伊勢湾中央の深所を中心に例年よりも広い範囲に分布している。特に水深が20mより深いところでは1ppm以下の無酸素状態となっており,硫化水素の発生もみられる。
10月3日の調査船「あさま」の定線観測によると,水温は表層で22.0~23.2℃,10mで22.7~24.0℃,底層で22.5~24.0℃の範囲にあり,平年値と比較すると全層でやや高めとなっている。塩分は表層で25.43~31.42,10mで29.67~32.63,底層で31.79~33.20の範囲にあり,ほぼ平年並みとなっている。
DO(溶存酸素量)は表層で4.8~8.5ppm,10mで2.5~5.7ppm,底層で0.0~5.5ppmの範囲にあり,平年値よりも低くなっている。
表面水温の低下に伴い海水の上下混合が発生し,先月(下図左参照)と比較すると底層の貧酸素水塊(DO値2ppm以下)の範囲は若干縮小しつつあるが,10月に入っても伊勢湾中央の深所を中心に例年よりも広い範囲に分布している(下図右参照)。津市(鋼管前)と野間を結んだ線よりも北では底層の貧酸素化が著しく,特に水深が20mより深いところでは1ppm以下の無酸素状態となっており,採水時には強い硫化水素臭がした。
今後貧酸素水塊が解消に向かう過程で海水の上下混合や沿岸浅所への波及があると,硫化水素が魚介類に悪影響を及ぼして衰弱やへい死が発生する可能性があり,注意が必要である。
*本年度は愛知県水産試験場と協力して貧酸素情報を収集しております。愛知水試ホームページhttp://www.pref.aichi.jp/suisanshiken/でも画像を見ることができます。
溶存酸素量(9月4日) |
溶存酸素量(10月3日) |