野外体験保育有効性調査
野外体験保育有効性調査(平成27年度)について
幼児期における自然体験を通して、子どもは知的好奇心や感性が豊かに育まれ、社会性、自尊心、自己肯定感の向上効果が期待されると言われています。
三重県では、少子化対策の一環として、子どもの豊かな育ちを基本とした子育てを推進するため、自己肯定感の向上を含め、子どもの「生き抜いていく力」を育む野外体験保育の推進を図っていくこととしています。
平成27年度は、学識経験者を含む調査・検討委員会を設置し、県内保育施設へのアンケート調査や保護者向け意識調査等を行い、県内の野外体験保育の実態を把握するとともに、当保育の有効性の検証や普及方策の検討を行いました。
調査結果について
野外体験保育有効性調査 報告書 概要版(PDF形式:全7ページ)
調査の概要 【 】内は報告書の掲載ページ数
- 保育施設向け実態調査【P1】
(1)県内全ての幼稚園、保育所、認定こども園(636園)を対象に、施設の管理者へのアンケート調査を実施。(546園から回答(回収率85.8%))
(2)野外体験保育実施施設向け現地調査【P2】
野外体験保育に積極的に取り組む施設(3施設)を選定し、職員等へのヒアリング調査を実施。
(3)保護者向け意識調査【P2】
上記(2)の施設の園児の保護者(50名)に対し、アンケート調査を実施。
(50名から回答(回収率100%)) - 調査結果の概要
(1)野外体験保育の有効性に関するもの
ア 野外体験保育の実施頻度と、子どもの様子には関係が見られる。【P10】
野外体験保育の実施頻度が高い保育施設ほど、多くの園児に「自分からすすんで何でもやる」「さまざまな情報から必要なものが選べる」「自分に割り当てられた仕事はしっかりとやる」「人のために何かをしてあげるのが好きだ」などの様子が見られると回答した施設の割合が高い。
イ 野外体験を多く取り入れる施設に子どもを通わせる保護者は、子育てに肯定的な感情を持っている。【P24】
野外体験保育に積極的に取り組む施設に子どもを通わせる保護者の9割以上が、「子どもの成長している姿を見るのが嬉しい」「子育てを通じて、自分も成長していきたい」などの項目に、「そう思う」と回答しており、今の子育てと自分の生き方に肯定的な感情を持っている様子が見られる。
(2) 野外体験保育に関するニーズや課題に関するもの
ア 野外体験保育の実施頻度が低い施設ほど、野外体験保育のニーズは高い。【P8, P17】
県内の48.0%の保育施設がもっと野外体験保育に取り組む必要があると回答している。特に、野外体験保育の実施頻度が低い施設ほど、「もっと取り組みたい」と回答した施設の割合が高い。※実施頻度が最も低いグループに属する施設を除く。
イ 野外体験保育を進める課題には「安全性の確保」「職員の負担」などがある。【P18, P20】
野外体験保育を進める上での課題として「安全性の確保が困難」と回答した施設が最も多く、次いで「職員の負担が大きい」「体験を行うフィールドが少ない」「職員にスキルがない」と続いている。特に中心市街地や郊外の住宅地では「体験を行うフィールドが少ない」と回答した施設の割合が高い。
また、野外体験保育に積極的に取り組む施設では、運営にかかる負担や保護者の理解が課題であると回答した施設が見られる。
ウ 野外体験保育の実施頻度が高いほど、地域の人々の保育への参加が多い。【P16】
野外体験保育の実施頻度と、地域の人々の保育への参加回数には関係が見られ、実施頻度が高いほど、地域の人々が参加する行事等の回数が多い施設の割合が高い。