おさかな雑録
No.27 モロ 2010年8月13日
目立たない魚はちょっと手強いかも
モロ 標準体長29cm(上)、27cm(下) 志摩市安乗産 平成21年7月24日撮影
伊勢志摩海域では、モロはまとまって獲れることは希ですがしばしば見かける魚です。残念なことに市場での評価は低く、モロ単独でも、数種類混じっていても、ひとまとめに「ムロアジ類」のように扱われます。
モロ 標準体長11.8cm 南伊勢町奈屋浦産 平成22年7月8日撮影
幼魚はイワシ類やサバ類の幼魚に混じり、比較的まとまって水揚げされることがありますが、こちらは「イワシ混じり」などと計量されることがほとんどです。モロは、標準和名はもちろん、固有の呼び名でも呼ばれることもありません。ヒトに関心を向けられることのない、いわば目立たない魚です。
モロの特徴は、小離鰭があること、稜鱗は側線直走部の4分の3を覆うこと、胸鰭は第2背鰭起部直下に達しないこと、頭頂部の鱗の範囲は目の中央に達しないこと、尾鰭はやや暗色で後縁は赤みを帯びることです。また、体には黄色や青色の縦帯はみられません。
モロ 標準体長9.4cm 南伊勢町産贄浦産 平成21年9月2日撮影
モロ 標準体長9.4cm(左)、9.0cm(右) 南伊勢町産贄浦産 平成21年9月2日撮影
尾鰭後縁の色は、わかりやすい個体では使える指標になりますが、個体差があって悩むこともあります。類似種とは頭頂の鱗や体の縦帯、尾鰭の色などを組み合わせると確実に見分けることができます。とはいえ、担当者もモロを見分けることができるようになったのは市場通いが一年を過ぎた頃でした。目立たない魚は結構手強い存在かもしれません。
(2010年8月13日掲載 資源開発管理研究課)