お正月に食べ鯛、三重の養殖マダイ!
マダイは古来からおめでたい魚として知られ、日本書紀などにも海彦山彦など数々の鯛に関する逸話が残っています。言うまでもなく、日本人にとって鯛はお祝いに欠かせない魚なのです。タイの仲間とは全く違う種類の魚であっても多くの魚名にタイの名前がつけられていることからも、日本人にとってなじみ深く重要視されてきた魚であるかうかがえます。
マダイの旬といえば、産卵をひかえて脂も乗り、桜鯛と呼ばれる「春」が旬として一般的ですが、お正月にはおめで鯛、マダイの尾頭付きをお祝い膳に用いてはどうでしょう?養殖マダイはお正月にこそおすすめの食材なのです。
実は三重県は全国第3位の生産量を誇る養殖マダイの一大産地で、鳥羽から熊野までの波の穏やかなリアス式の海で盛んにマダイ養殖が行われています。近年は広いイケスでゆったりと飼育するのが主流で、種苗となる稚魚の入手先から餌やりの履歴等が厳密に記録され、養殖をされている漁師さんたちが自信を持って「おいしい」「安心」と誇れる魚になっています。
さて、なぜ養殖マダイがお正月の尾頭付きの焼き物におすすめの食材なのか?それは、養殖マダイの身には冬でも脂が乗っており、身がふっくらと柔らかいという特徴があるためです。このため、焼いて時間がたっても固くならず、適度な脂のため冷えてもしっとりとした食感が味わえるため、事前に準備をしておいて供されるおせちにぴったりなのです。価格は12月でも安定しており、お手ごろ感もばっちりです。
お正月用の塩焼きをおいしく姿よく焼き上げるコツは、
●焼く30分~1時間くらい前に振り塩をして、身を締めておく
●皮の上から竹串でぷつぷつと数ヶ所刺しておき、焼くときに皮が膨らみ焦げてしまわないようにしておく
●保存性を高めるため、身に切れ目を入れない
●振り塩をしたら、ざるや網を敷いたバットに乗せておく(身から出る水分に浸からないように)
●焼く直前に焦げてほしくない部位、例えばヒレの全体、特にヒレの先端近くに真っ白になるくらい塩をなすりつけ化粧塩をする
●焼き網は一度強く熱してから魚をおく、このとき網にサラダオイルを塗っておくと、皮と焼き網が引っ付きにくい
などです。
日本のお正月を鮮やかに彩るおせちには、みえの漁師さんが心をこめて育てたおいしい「おめで鯛」をどうぞ!
マダイのカブト焼き:塩を強めに、カリッと香ばしく焼きましょう。頭の身を食べ終わったら、お椀に残りの骨を入れ、暑いお湯を注いで醤油で味を調えれば、三重の伝統食「医者いらず」と呼ぶ即席のお吸い物ができあがります。マダイの上品な旨味を残さずいただけますよ。塩焼きや煮つけなどのアジや白身の魚の骨でもおいしく味わえますが、イワシ、サンマはあまり向かないようです。
(水産資源育成研究課)