真珠貝(アコヤガイ)の貝柱
英虞湾をはじめ三重県南部の波の穏やかなリアス式海岸では、アコヤガイを用いた真珠養殖が盛んです。そもそも真珠は、アコヤガイなどの貝類の体内に砂粒などが入って吐き出せなくなった場合に、それらの異物を貝殻成分で覆ってしまったものです。この特性を応用したのが真珠養殖で、基本的には殻をもっていればどんな貝でも真珠を作ることができるのです。
しかし、美しい光沢を持った宝石としての「真珠」は貝殻内面にキラキラとした輝きを持った真珠層を持つ貝でないと作ることができません。様々な貝類の中から試行錯誤の末に選ばれたのが、現在三重ブランドとして知られるアコヤガイ真珠なのです。
三重県では12月から1月にかけて養殖されたアコヤガイが浜揚げされて真珠が取り出されます。このとき一緒に取り出されるのが貝柱(かいばしら)。2枚の貝殻を開閉するための筋肉です。刺身で味わうと、さっくりとした適度な歯ごたえ、程よい塩味の中に軽やかな甘味と旨味が味わえます。おすすめなのは軽く火を通した調理。バターなどでソテーしたり軽い衣でさっとかき揚げにすると、生の時には軽やかだった味が一転して、甘味旨味ともに口の中いっぱいに大きく膨らみます。この旨味は飲み込んだ後も残りますので、三重県のおいしい新米か新酒と一緒に余韻を楽しむことをおすすめします!
三重県は球形の真珠養殖発祥の地で現在も養殖が盛んですから、アコヤガイの貝柱は地元の鮮魚店などで販売されることがあります。真珠の取り上げシーズンしか出回らない希少なものです。見かけたらとにかくお買い求められることをおすすめします。
アコヤガイの中のもう1つの味の宝石、貝柱をぜひ味わってみてください。