寒グレ(メジナ)
グレは西日本でのメジナの呼び方です。春先に産卵期に向け冬に脂が乗り、特に西日本で珍重されます。一見真っ黒で地味な魚ですが弾力のある肉厚の白身には適度の脂と風味が乗っており、値段もお手ごろなのです。稚魚期には外洋に面した内湾で群れをなしており、大きくなるにつれて波の荒い岩礁地帯にすみかを変えていきます。三重県では磯釣りの対象魚種として高い人気があり、漁業では主に定置網、刺し網で漁獲された魚が流通します。
メジナの身は肉厚で味わいは軽やかです。筋肉の組織がしっかりとしていることから味の浸み込み方がゆっくりなので、調理では少し濃い目に味付けしましょう。志摩の地域では一般的に煮付にされることが多いようです。大きめのメジナを3枚におろして、醤油、砂糖、酒、ショウガなど1時間程度下味をつけた後、片栗粉をまぶし竜田揚げにしてみてはどうでしょう。クセもなく子どもに喜ばれる一品となります。また、下味をつけずに唐揚げにしてあんかけ風におすすめです。なお、ウロコをとる時には周囲に飛び散りやすいので、ビニール袋の中でウロコ取を使って行うと、調理後の掃除が楽です。
また、ちょっと大胆なレシピとして、鱗がついたままの丸ごと焼きがあります。鰓と内臓だけを取り出し水洗いしたメジナ(ウロコは取らない)に塩を振り、そのまま油を少しひいた中火のフライパンで焼くか、グリルで焼きます。フライパンでは外側が焦げたくらいでひっくり返し、両面をよく焼きましょう。グリルでは外が丸焦げになるくらい強火でよく焼いてください。外が焦げ焦げでも中はふっくら蒸し焼き状態になっていますので、ウロコごと皮を取り除きます。気持ちいいくらいにきれいにはがれますので、この料理法のハイライトと思って楽しまなければなりません。お好みで醤油とレモンなどとあわせてお食べ下さい。
定番の刺身では、皮と身の間に脂とおいしさがありますから皮ごと食べていただきたい。刺身を作るときに皮を引かずに、薄めにそぎ切りにします。新しければ新しいほど身に弾力がありますので、かみ切れる程度に薄めに造ります。切ったら身をもとのさくの状態に戻して金属のバットの上に乗せ、ガスバーナーで皮の面だけ脂がぱちぱちいう程度まで炙ります。後はそのまま、あるいは冷やして盛り付けてください。醤油、ポン酢でもどちらでも合いますよ。バーナーがない方は、作る前にグリルやフライパンで皮の部分だけ同様に焼いてください。この場合そぎ切りにするときに大抵皮がはがれてしまいますが・・・。解決法をご存知の方は教えてくださいね。
(水産資源育成研究課)