イサキ
イサキは沿岸の岩礁地帯付近を群をなして回遊し、主に定置網や一本釣りで漁獲されます。三重県の沿岸では主に鳥羽以南、特に東紀州地域で多く漁獲されています。旬は産卵前の初夏で、白い身はクセもなく旨味と適度な歯ごたえがあり、文句なしにおいしい魚です。
イサキの骨は「鍛冶屋殺し」(包丁を傷めるので)の異名を持つほど硬く鋭いので、食べるときには注意が必要です。イサキはどのような料理にしてもおいしく頂くことができ、塩焼き、煮付などが一般的です。もし、鮮度のよい大きなイサキが手に入ったらお刺身がおすすめです。
獲れたばかりのイサキであればコリコリとした食感と軽い味わいが楽しめますし、1~2日寝かせてから食べると、もっちりとして濃厚な旨味を頂くことができます。また、皮は通常捨てられてしまいますが、皮と身の間には旨味のぎゅっと詰まった程よい脂があります。皮を引いて、この脂を捨ててしまうのは何とももったいないので、ぜひ、皮もいただける「たたき」を作ってみてはどうでしょうか?作り方は以下の通りです。
①ウロコと内臓をていねいに取り除いた後3枚におろし、腹骨、背中側と腹側の間にある骨を取り除きます。どのような魚にも共通して言えることですが、血やヌメリなどが身に付かないように、適宜まな板や包丁を洗いながらおろしてください。
②バットあるいはざるに身を並べ、皮と身に振り塩をして2~3分馴染ませます。
③大きなボールにたっぷりの水に氷を入れ、冷たい水を作っておきます。
④塩をした身を串に刺し、水気を付近などで取り除いてから直火で皮だけをさっと炙ります。皮にある脂が熱せられチリチリっという音がしたら加熱終了です。直ちに水道水で粗熱と余分な塩を取りのぞき、③のボールに漬けて身を締めます。身を触って冷たいくらいになったら取り出しましょう。水に漬けすぎると味がぼやけてしまいますよ。
⑤水気をキッチンペーパーなどで除いて、皮が外れないように注意しながら好みの厚さに削ぎ切りします。身が締まっていれば薄く切った方がよいでしょう。身を数日寝かせておいたものや焼きすぎてしまった場合には厚めに切ってください。なお、和包丁は押して切るものではありません。包丁の刃全体を使って切り口がガタガタにならないように引き切りましょう。
⑥薬味は小口切りにしたねぎ、大葉、紅葉おろしなどお好みでどうぞ。柑橘を用いたポン酢との相性が抜群です。よーく冷やして、おいしい炊き立てご飯か冷たい辛口日本酒などとともにお召し上がり下さい。
さて、刺身を作った後の、アラを捨ててしまっていはいませんか?買ったときの魚の重さの半分くらいがアラですから、捨てずにちゃんと食べてあげましょう。簡単でおいしい調理方法は、アラのお味噌汁です。血をよく取り除き、アラにたっぷりと振り塩をした後水洗いしましょう。たくさんの血が滲んでくるようなら、1~2%の塩水に5分くらい漬けると、血が溶け出してくるはずです。1~2回水洗いをしてざるで水を切ったら、別にやかんで沸かしたお湯をざるの上からかけて下さい。その後氷水で冷やします。この行程は霜降りといってアラの処理には欠かせない臭み抜きの方法です。塩水に浸して旨味が逃げてしまわないか心配になりますが、臭みを取り除くほうを重視しましょう。
下処理をしたアラを昆布出汁で、あくを取り除きながら2~3分煮出し、お好みの味噌で味付けしてください。赤味噌、ミックス味噌などで楽しむのもよいですし、京風の白味噌もイサキには合うと思います。白味噌は大変甘いので、ミョウガなど強めの薬味を合わせると少しさっぱりとするのではないでしょうか。
味噌汁ではなく、下処理をしたアラをグリルで焼いて、その後潮汁に仕立てても大変おいしいので試し下さい。塩焼きにして食べた残りの骨にお湯をかけると、それは鳥羽や志摩で「医者いらず」と呼ばれる骨のスープです。
(企画・資源利用研究課)