舌平目は地中海の魚を用いたフランス料理では定番の食材として海外では高値で取引されるおいしい魚です。舌平目の一種であるクロウシノシタは伊勢湾では夏に底引き網で漁獲され手ごろな価格で手に入るので、ぜひ食べていただきたい食材です。
クロウシノシタには細かいウロコがありますので、どのような調理を行うにしてもまずウロコを取り除くことが大切です。包丁の先などで、ていねいに取り除きましょう。内臓も取りにくいですがちゃんと取り除き、水洗いもしましょう。ムニエルにする場合には皮も取り除きますが、簡単ではありませんので皮ごと食べられる調理をおすすめします。
簡単な調理方法は、一匹丸ごと(またはぶつ切りにして)、塩コショウをしてから小麦粉などをまぶしてから揚げにすることです。170度くらいの低温の油で、ヒレがカリッと食べられるようになるまで揚げましょう。背骨は硬く、細く、鋭いので食べるときには細心の注意が必要です。気になる方はあらかじめ3枚(5枚)におろして骨を取り除いておくとよいでしょう。粉をまぶす前に、ビールを回しかけてから粉をまぶして揚げ、大振りに切って揚げたジャガイモフライを付け合せれば、イギリスの有名なファストフードである「フィッシュアンドチップス」になります。食べるときには塩と軽めの酢を振り掛ければ本格的です。
また、おすすめの調理法として煮付けがあります。甘辛く濃い味付けや、魚の持ち味を活かした軽い味付けどちらでも大変おいしく食べられます。おいしい煮つけを作るコツは、魚の生臭さを飛ばすため、煮立てるときにフタをしないことです。また、沸騰した煮汁の泡で魚が隠れるくらいの強めの火加減で加熱しましょう。煮るときに薄切りにしたショウガを入れるとよいですし、新ショウガを針ショウガにして煮上がったものに添えても大変おいしく食べられます。
日本では舌、牛の舌と呼ばれていますが、英語ではsole(靴底)と呼ばれています。呼び方は異なりますが、おいしい魚であるとの認識は共通しています。
(企画・資源利用研究課)