旬のおさかな情報
マアジ
マアジ 南伊勢町贄浦 平成26年4月10日撮影
熊野灘の定置網でマアジの姿がみられるようになりました。といっても、マアジはほとんど年中水揚げされるため、ブリのように季節感のある商品ではないかもしれません。「豆あじ」と呼ばれる3㎝程度の幼魚だけは、春の風物詩といえそうですが、あいにく今年は「豆あじ」の姿をほとんど見ないので、今回はもうすこし大きな個体の紹介になります。
マアジ 南伊勢町贄浦 平成26年4月10日撮影
大きさは標準体長で16㎝程度、年齢は推定1歳です。これぐらいの大きさになると、丸干しには大きすぎるので加工向けには開く手間が生じますが、鮮魚で調理すれば1尾を使って塩焼きにしても見栄えがしますし、刺身やたたきにしてもまずまずの食べごたえがあります。マアジは姿、味、調理のしやすさなどで優れており、どんな料理にしてもおすすめできる万能選手ですが、今回はあえて、フライでお試しいただいてはいかがでしょうか。
フライはどちらかというと鮮度が落ちたものとか、脂の乗りが今一つのものなど、刺身や塩焼きなどに向かない食材の「最後の手段」のようなイメージがあります。油で短時間に火を通して身のうまみと水分を閉じ込め、味わいには油が加わることでコクが出るため、「おいしくない魚をおいしく」食べるには良い方法といえるでしょう。しかし、このことがかえって「おいしい魚をフライにしてはもったいない」という固定観念を作り出しているようにも思います。
実際には、「おいしい魚をフライにする」と、フライがもっとおいしくなります。鮮度の良いマアジをフライにするのは勇気がいることかもしれませんが、ご家庭ならではのご馳走といえるでしょう。だまされたと思ってぜひ一度お試しください。表面はサクッと身はふわふわでうまみがあふれ出て、びっくりすること請け合いです。
(2014年4月15日掲載 企画・資源利用研究課)
定置網漁業(水産資源課へのリンク)