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平成20年12月09日

滞留貸付金に関する管理事務執行状況について

第1 外部監査の概要
第2 外部監査の結果

第1  外部監査の概要

1. 外部監査の種類

地方自治法第252条の37第1項及び第2項に基づく包括外部監査

2. 選定した特定の事件(テーマ)

 (1)外部監査の対象
      延滞貸付金に関する管理事務執行状況について
 (2)監査対象期間
      平成15年4月1日から平成16年3月31日まで
      (但し、必要に応じて過年度に遡り、また平成16年度予算額も参考とする。)

3. 特定の事件(テーマ)を選定した理由

三重県においては、様々な目的の貸付を行っている。貸付が目的を果たし、かつ、順調に 回収されればなんら問題はないが、実際には延滞貸付金が存在する。金融機関の延滞債権で あれば、経済合理性にもとづき処理を進めることができるが、公共部門での延滞貸付金は弱 者救済・経済活性化の観点から、整理回収の促進の観点のみでは済まされない問題である。 しかも、貸付金の回収の成果は歳入になるので、貸付金の回収結果が財政に与える影響は大 きい。 このような実情から判断して延滞貸付金の管理が所定の手続を経て適正に執行されて いるかどうかを検討する必要があると認めた。

4. 実施した主な監査手続

 (1)各貸付金の入・出金の管理状況の検証。
   ・各貸付金の入・出金の記録が、三重県の決算書と一致していることを検証した。
   ・各貸付金の前年度からの繰越残高、当年度貸付額、当年度回収額、当年度不納欠損処理
    額、当年度繰越残高の集計が適切になされていることを検証した。
   その他、適宜関係書類の閲覧、担当者へのヒアリングを実施した。
 (2)繰越額のうち延滞金額が平成15年度において合計10,000千円以上の貸付事業について主
   に以下の資料を入手し閲覧を実施した。 実施要綱、施行規則、延滞先の融資決裁関係資
   料、延滞先の回収記録資料、延滞先の訪問記録、延滞先の県における協議記録

5. 外部監査の実施期間

平成16年7月9日から平成17年1月31日まで

第2 外部監査の結果

監査の対象とした平成15年度末における延滞金額が10,000千円以上の貸付金について検証した結果、次の7つの貸付事業について、指摘もしくは意見を述べるべきと判断した事項が発見された。当該指摘及び意見の内、主要なものの概要は以下のとおりである。

農水商工部

No 貸付事業名 所管部署 延滞金額(千円)
1 農業改良資金 農水商工部 金融室 40,855
監査の過程で発見された事項等の概要
1.債務者の不動産の処分状況の把握を定期的に行っていなかった。【意見】
 債務者の不動産の処分状況に関する情報は、強制執行を含めた返済可能性を検討する段階でしか入手されていない。そのため、処分可能な資産を調査する段階では既に多重債務者となっており、強制執行を行ったところで県が得られるものは何もないというケースもみられた。債務者の不動産処分状況についても延滞発生後は定期的に入手することが望まれる。

2.債務者の事後的な支援体制が不完全である。【意見】
  担当普及員が適宜訪問して経営・技術指導を行うこととなっていたが、普及員の不足もあり、定期的に全件訪問できる状況ではなかった。貸付資金の運用効果を高めるためにも、貸付先については優先的に経営指導を行うことが望ましい。

3.回収が長期にわたっており、債権の完全な回収が困難である。【意見】
 現在の回収状況から鑑みて完済までに長期(50年以上)を要すると予想されるものがあった。これらの債権は完全な回収が困難と予想される。債権回収計画を見直して回収不能見込額を算定し、回収不能部分については不納欠損処理を行うことが望まれる。
2 貸付事業名 所管部署 延滞金額(千円)
沿岸漁業改善資金 農水商工部 金融室 12,886
監査の過程で発見された事項等の概要
1.債務者の経営状況を把握する手続を定めることが望まれる。【意見】
 融資後に、債務者の経営状況を把握する手続きが定められていなかった。一部の債務者については経営状況報告書を入手するよう平成15年度に要綱及び内規が改正されているが、今後は少額の債務者を除くすべての債務者から経営状況報告書を入手するよう手続を定めることが望まれる。
3 貸付事業名 所管部署 延滞金額(千円)
設備近代化資金貸付金 農水商工部 金融室 183,917
監査の過程で発見された事項等の概要
1.決算書が不適正である場合には、適切な修正を実施してから融資判断することが望まれる。【意見】
 減価償却を実施していない等の決算書のままで、適切な修正を加えることなく経営診断をし、融資を実施していた。「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」に準拠して作成された決算書にもとづき財務状況を判断することが貸付審査手続では重要であるので、決算書が不適正である場合には、適切な修正を実施してから、融資判断を実施することが望まれる。

2.債務者の貸倒れリスクに応じて必要な担保を入手することが望まれる。【意見】
   延滞債権のほとんどが不動産担保の必要のない1,500万円以下の貸付に集中している。延滞債権の早期回収を図るために、債務者の貸倒れリスクに応じて必要な担保を入手することが望まれる。

3.債務者の財務情報の定期的な入手及び保存が十分でなかった。【指摘】
  「融資後、決算書等を全く入手したことがない」延滞先は12%、「決算書等の保存状況が悪く、全く入手したことがなかったか不明である」延滞先が12%であった。担当部署では債務者からの決算書等の提出に遅延がないかを確認し、債権回収が完了するまでは決算書等の財務情報を保存しておくべきである。

4.貸付金回収の優先順位付けを行い、県の人的資源を効率的に活用し早期回収を図ることが望まれる。【意見】
  財務情報、不動産の処分情報等を定期的に入手し分析することで、回収不能のリスクの高い債務者を予測することができる。回収不能リスクの高い債務者を優先的・重点的に訪問し交渉を行うことで、県の人的資源を効率的に活用し、債権を早期に回収することが望まれる。

5.債務者への債務通知に遅延利息を含めることが望まれる。【意見】
 遅延利息については、債務者から徴収している場合としていない場合が見受けられ、その取扱いが統一化されていない。債務者への債務通知には金銭消費貸借契約書に記載されている遅延利息も別途記載し、遅延すると金利負担が重くなるという意識を持たせ、返済する動機付けに利用することが望まれる。
4 貸付事業名 所管部署 延滞金額(千円)
中小企業高度化資金貸付金 農水商工部 金融室 2,785,560
監査の過程で発見された事項等の概要
1.返済能力に見合った償還期限となるよう融資額を調整することが望まれる。【意見】
  償還期限が申請時の決算書から計算される償還能力より短く設定され、早晩、資金繰りに窮することが予想されるケースがあった。中小企業者等の場合、資本が弱小であるため、手元資金が薄く、償還期間が相当長期でないと償還資金が不足しがちになる。償還期限を長くすることについては制度上の上限があるので、返済能力に見合った償還期限となるよう融資額を調整することが望まれる。

2.申請時から貸付実施までに要する時間が長すぎる。【意見】
  貸付の申請から実施に長時間を要したため、その間に経済環境が変化し、融資の効果が発現しないままに、債務の延滞が生じてしまった事例があった。貸付の実行はスピーディーに実施していくことが望まれる。

3.連帯保証人全員の不動産の処分状況等の定期的な把握が望まれる。【意見】
  延滞発生後、連帯保証人の住民票転居地まで訪問したが、所在を確認することができなかったケース等があった。融資後から債務者だけでなく連帯保証人全員の財産の定期的な聞き取り調査や、必要によっては最新の登記簿謄本の入手を実施し、担保余力を定期的に把握することが望まれる。

4.追加融資や償還条件変更は、完済できる計画にもとづくものでなければならない。【指摘】
  追加融資を実施している場合で、最後の貸付を申請した時点の決算書において年間償還額を上回るキャッシュ・フローが既にないケースがあった。中小企業高度化資金貸付金の手引に従い、追加融資や償還条件変更は、完済できる計画にもとづくものでなければならない。

5.追加融資を行う場合には、貸倒れリスクに応じて追加担保を徴求することが望まれる。【意見】
 上記の事例のように年間償還額を上回るキャッシュ・フローがなく、借入金の回収が懸念される場合には、リスクに応じて連帯保証人からの追加担保の徴求を図るなど、債権の保全をあらかじめ図ることも望まれる。
5 その他、農水商工部に共通する意見
監査の過程で発見された事項等の概要
1.債務者情報の一元管理の範囲の拡大が望まれる。【意見】
 債権管理の観点からは各貸付事業の債務者情報や納税状況等をデータベース化し一元管理を行うことが有効である。しかし、延滞情報の一元化について、現状では十分とは言えない。債権管理の有効性を高めるためには、県が利子補給を行っている貸付事業についての債務者情報や債務者の納税情報まで、一元管理の範囲を拡大することが望まれる(むろん、その場合も本人の事前の同意が前提となる)。

健康福祉部

1 貸付事業名 所管部局 延滞金額(千円)
高齢者住宅整備資金貸付金 健康福祉部 長寿社会室 43,441
監査の過程で発見された事項等の概要
1.「貸付の申請に関する書類」が保管されていない貸付があった。【指摘】
  整備資金貸付申請書、改築工事計画書、住民票の写し、所得証明書など、貸付の申請に関する書類一式が保管されていない事例があった。返済が完了するまでは、当然に保管しておくべきものであり、今後は紛失等のないよう、適切に管理するべきである。

2.債務者の所得額が無いにもかかわらず、処分可能資産を検討した履歴が見当たらなかった。【指摘】
 債務者の所得額がゼロにもかかわらず貸付けているケースがあった。所得が無ければ処分可能資産の状況について把握した上で貸付を行うべきであったが、それを検討している資料は見当たらなかった。
2 貸付事業名 所管部局 延滞金額(千円)
障害者住宅整備資金貸付金 健康福祉部 障害福祉室 23,634
監査の過程で発見された事項等の概要
1.「貸付けの申請に関する書類」について「所得証明」の代わりに「納税証明」が添付されているものがあった。【指摘】
  「貸付けの申請に関する書類」について「所得証明」の代わりに「納税証明」が添付されているものがあったが、「三重県高齢者住宅整備資金及び障害者住宅整備資金貸付条例施行規則」の規定では、整備資金貸付申請書の添付書類として「申請者の前年の所得の額についての市町村長の証明書」と明確に記載されており、これと異なる取り扱いをしたことになる。

2.「障害者住宅整備資金借用書」に押印されている連帯保証人の印と「印鑑登録証明書」の印とで異なるものがあった。【指摘】
  「障害者住宅整備資金借用書」に押印されている連帯保証人の印と「印鑑登録証明書」の印とで異なるものがあった。これらの印が異なるということは、借用書に記載されている連帯保証人が、本当に連帯保証をしているのかが疑わしいことになる。借用書について印鑑登録証明書と一致していないものは受理すべきではなかった。

3.平成15年度において「年間未収金整理実施計画報告書」が作成されていなかった。【指摘】
  「健康福祉部未収金徴収事務の手引き」にて「年間未収金整理実施計画(結果)報告書」を作成することが規定されているが、そのうち、平成15年度において「実施計画報告書」が作成されていなかった。当該報告書は、滞留未収金の徴収管理を計画的に実施するために必要不可欠のものであり、今後は適切に作成し、それに基づいて適切な徴収管理を実施すべきである。
3 貸付事業名 所管部局 延滞金額(千円)
母子及び寡婦福祉資金貸付金 健康福祉部 こども家庭室 298,818
監査の過程で発見された事項等の概要
1.「母子(寡婦)福祉資金貸付審査基準」にて申請書に「添付すべき」とされている書類について、貸付申請書に添付されていないものがあった。【指摘】
  「母子(寡婦)福祉資金貸付審査基準」にて申請書に「添付すべき書類」として規定されているもの(貸付申請に必要な書類で「各種資金共通」のもの)について、貸付申請書に添付されていないケースがあった。

2.金融機関届に金融機関の証明(印)の無いものがあった。【指摘】
 金融機関届に金融機関の証明(印)の無いものがあった。「送金先金融機関届」は債務者本人が適切に金融機関に口座を開設したことを確認するための書類であり、金融機関の証明印のないものは、当該確認のできないまま貸付を行ってしまったことになる。今後は、必ず証明印の確認を行った後に貸付を行うべきである。

3.「母子(寡婦)福祉資金貸付審査基準」における「再貸付」の規定に反する貸付があった。【指摘】
 「母子(寡婦)福祉資金貸付審査基準」にて、「再貸付」ができるケースを限定しているが、それに抵触する貸付(別に貸付けた貸付金の償還に滞納がある場合)が存在した。今後は審査手続きの際に、上記の規定を遵守して貸付を行うべきである。

4.連帯保証人が貸付申請時から変更されているにもかかわらず、変更のための書類が添付されていなかったものがあった。【指摘】
 連帯保証人が貸付申請時から変更されているにもかかわらず、変更のための書類が添付されていないものがあった。連帯保証人を変更するに当たっては「連帯保証人変更届」にて、申請手続きを行い、所定の承認を受けた後に変更すべきである。しかし、このケースでは、それらの一連の手続きが行われたことがわかるような書類が保管されていなかった。今後は適切に処理されるべきである。
4 その他、健康福祉部に共通する意見
監査の過程で発見された事項等の概要
1.各延滞金額に対して延滞利息を計算し、延滞者に通知することが望まれる。【意見】
  それぞれの貸付金について延滞利息を付すことになっているが、実際には全く延滞金利が計算されてない。延滞金利は延滞に対するペナルティーであり、遅延すると金利負担が重くなるという意識を持たせるよう、各延滞金額に対して延滞利息を計算し、延滞者に通知することが望まれる。

2.「健康福祉部所掌未収金対策連絡会議」等の組織を活用し、効果の上がる未収金徴収の実施が望まれる。【意見】
  健康福祉部では、「健康福祉部所掌未収金対策連絡会議」「健康福祉部所掌未収金対策連絡会議幹事会」を設置することとしているが、実際には当該二つの機関は常設で活動するものではなく、いままでほとんど機能していない。また、連絡会議の下で、本庁又は地域機関毎に「徴収管理事務推進機構」を設置しているが、実際は当該機構の業務は、職員の未収金徴収に関する本来業務との区別がつかず、組織としての体裁になっていない。今後は、以上のような組織を活用し、組織的に、効果の上がる未収金徴収を実施することが望まれる。

3.連帯保証人に対する貸付金返済の催告が僅かしか行われていないが、借受人と同様に催告を実施していくことが望まれる。【意見】
 連帯保証人に対して貸付金返済の催告をしている例も僅かにはあるが、全ての連帯保証人に対して定常的に実施しているわけではない。連帯保証人に対して、貸付金の返済を求めることは、法律上なにも問題が無く、債権回収の有効な手段であることから、これからは借受人とともに連帯保証人に対しても貸付金返済の催告を実施していくことが望まれる。
4.現状では強制執行が実施されていないが、機動的に強制執行を実施できる判断基準を設けることが望まれる。【意見】
  「健康福祉部未収金徴収事務の手引き」にて「悪質な債務者に対しては、必要に応じて滞納処分または強制執行の実施を検討するものとする。」と記載されているが、いまだかつて、一回も強制執行を実施していない。強制執行は資金を回収するための有効な手段であり、借入金の返済を適切に行っている誠実な債務者との公平等を考慮して、強制執行を状況に応じて実施すべきではないかと考える。一度も返済を行っていない債務者を「悪質な債務者」と定義するなどし、機動的に強制執行を実施できる判断基準を設けることが望まれる。

5.金額基準などを設定し、貸付金回収の優先順位付けを行い、限られた人的資源を有効に活用することが望まれる。【意見】
  健康福祉部では限られた人員で貸付金の滞納整理が実施されている。したがって、効率的に債権回収業務を行わなければ効果は上がらないため、滞納整理の重点化を図る必要がある。これには、金額基準あるいは滞納年・矧譓€などを設定し、貸付金回収の優先順位付けを行い、限られた人的資源を有効に活用することが望まれる。

6.今までは、時効成立以外の不納欠損処理を実施していなかったが、回収可能性の判断について慎重を期した上で不納欠損処理を実施することが望まれる。【意見】
 時効成立以外の不納欠損処理を今までは実施していなかった。回収可能性のきわめて低い所在不明者に対する貸付金を正常債権として位置づけて管理していることは、県民に対する説明責任の観点からは不適切であり、回収可能性の判断について慎重を期した上で不納欠損処理を実施することが望まれる。

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