特に注目されるのは、弥生時代中期の磨製石斧の未成品が多量に出土したことです。石斧の成形や研磨に用いたとみられる敲石や砥石も出土し、石斧が集中的に製作されていたことが明らかになりました。一方で、完成品の石斧の出土量は少なく、製作された石斧の大半は他所へ搬出されたとみられます。
石斧の材料は、青川で多く採取できるハイアロクラスタイトと呼ばれる石です。ハイアロクラスタイトは緻密で硬く石斧に適しており、この石で作られた石斧は愛知県の朝日遺跡をはじめ伊勢湾沿岸地域に広く分布しています。
宮山遺跡は、弥生時代における磨製石斧の生産や広域的な流通の実態を解明するうえで、重要な情報をもたらした遺跡といえます。

上空から見た宮山遺跡調査区

出土した磨製石斧やその未成品
おもな時代:弥生時代中期
遺跡の所在地:いなべ市大安町片樋
発掘調査報告書のリンク:『宮山遺跡発掘調査報告』(1999年)
『宮山遺跡(第2次)・大久保城跡』(2003年)