市場調査メモ | 魚種解説 |
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ゴマサバ
標準和名
ゴマサバ
学名
Scomber australasicus
地方名
ごまさば,ごま,まるさば分類
スズキ目サバ科サバ属特徴
体側正中線上に黒色の斑点があり,それらは背側の縞模様とは連続しない。背びれ第9棘までの基底長は尾叉長の12%未満。体の断面はマサバに比べ丸い。漁法
まき網、定置網ほか来遊時期と魚体(2004~2013年の合計)
夏から秋は尾叉長30cm未満の未成魚が主体で、それらの群れは熊野灘に比較的長期間滞留する。冬から春は32~40cm程度の成魚が来遊する。由来の異なる加入群と資源の主体
夏秋季に漁獲される0歳魚と、冬春季に漁獲される明け1歳魚はほぼ同じ体長であり、それぞれ由来が異なる。前者は、同一年級群の中でより早くに生まれた個体が沿岸に加入した群れ、後者は遅生まれが黒潮ー親潮移行域で生育した沖合加入群と考えられている。また、太平洋系群の主体は後者の沖合加入群であり、沖合加入群と沿岸加入群はお互いに独立した加入動向を示すと考えられている。
加入動向と資源豊度
漁獲物中の同一年級群における体長組成が、経時的に変化しない、あるいは小型化するような場合には、その年級群の来遊豊度は比較的高水準となる。
成熟
熊野灘では、2~3月を中心に、31cm以上で成熟する。
近年の漁獲状況
1990年代になってマイワシと入れ変わるように増加し、以来まき網の主たる漁獲対象種となっている。2000年代後半からはさらに漁獲水準が上がり、中型まき網による年間漁獲量は2万トン~3万トン程度で推移したが、2015年以降減少傾向にある。漁獲物の主体は、夏秋季の0~2歳魚であったが、2010年以降は沿岸加入群の加入が悪い状況が継続し、同時期の不漁傾向が継続している。一方、冬春季の産卵回遊群は漁獲水準を保っている。
2016年の漁獲状況
中型まき網による漁獲量は、1月、5月を除き、過去10年平均を下回った。夏秋季の小型魚だけでなく、冬春季の成魚の漁獲もやや不安定になっている可能性がある。
2017年の漁獲状況
1月、2月の中型まき網による漁獲量は前年、過去10年平均を下回った。漁獲主体は32㎝前後、35㎝前後であった。
研究成果
- ゴマサバ2009年級群は加入が良く、漁獲量を大きく押し上げた。また、秋以降、魚体が経時的にほとんど変化しないか、やや小型化した(岡田 誠 2011.熊野灘におけるサバ類2009年級群の加入:黒潮の資源海洋研究12号)
- 秋季に放流されたゴマサバ未成魚は熊野灘でのみ、ほぼ1か月後まで再補された(岡田 誠ほか 2012.熊野灘におけるゴマサバの標識放流:黒潮の資源海洋研究13号)
- 年齢査定と体長組成の検討により、沿岸加入群と沖合加入群の来遊を指摘(梨田一也・岡田 誠 2014.鱗による熊野灘産ゴマサバの年齢査定:黒潮の資源海洋研究15号)
- 4月の定置網に混獲される12cmの幼魚が、夏季のまき網で漁獲される0歳魚の主体となるが、漁獲量を大きく増加させるのは秋以降にほかの海域から来遊する群れであり、2010年~2013年はいずれもそのような来遊が見られず、夏秋季の不漁傾向が継続していた(岡田 誠・久野正博 2014.2013年冬春季の熊野灘における小型浮魚類の加入と海況:黒潮の資源海洋研究15号)