旬のおさかな情報
マイワシ
マイワシ 鈴鹿市白子 平成26年8月6日撮影
今年は伊勢湾でマイワシがたくさん育っているようです。マイワシの幼魚は太平洋沿岸~黒潮-親潮移行域の広い範囲で育ちますが、どこでどれだけ育つかはその年によって異なります。特に伊勢湾の場合、今は春に湾内で卵を産むマイワシがほとんどいないため、初夏にかけて遠州灘などから幼魚が来遊するかどうかで結果は大きく異なります。今年は6月にマイワシ幼魚が大量に来遊したため、今では13㎝程度になってカタクチイワシと共にまとまって漁獲されています。
イワシ類の水揚げ 鈴鹿市白子 平成26年8月6日撮影
鈴鹿市白子では、漁獲物はフィッシュポンプをつかって吸い上げて水揚げします。そして陸上で選別機にかけるのですが、10数㎝程度の小魚同士が混ざると機械で選別するのは困難になり、手作業に頼らざるを得ません。しかし、これを手で選別するのは限度があり、水揚げの多くは「混じり」のまま、餌などに利用されます。
マイワシの煮付け 平成26年8月6日撮影
餌にするといっても、人間が食べるのに何の問題もありません。実際、夏の伊勢湾のマイワシは豊富な栄養分で丸々と太り、小骨も気にならないため刺身にして最上の部類に入るといえます。もちろん塩焼きやかば焼きもお勧めですし、ちょっと小さいものは煮付けにして骨ごといただくというのも乙なものです。問題は手間と鮮度をどうするかなんですが、モノがあって、欲しい人がいれば、あとは市場原理で何とかなるのではないでしょうか。まずは消費者の皆さんに、こんなにおいしい魚が伊勢湾というすぐ近くの海に大量に泳いでいる事実を知ってもらう必要があります。
マサバ 鈴鹿市白子 平成26年8月6日撮影
こちらはマイワシと一緒に来遊し、伊勢湾内ですくすくと育っているマサバです。大きくなれば高級魚ですが、0歳の夏はイワシ類と一緒に群れているのか、混獲され、やはり餌にされることが多いようです。しかし小さいといって侮るなかれ。このマサバは刺身用素材として恐るべき力を秘めています。もともと小さいサバは脂ののりが今ひとつのことが多いのですが、餌の豊富な伊勢湾などではしっかりと脂がのります。さらに、小さいサバはサバ独特の風味、苦手な人から見れば臭みがなく、身もしっかりとして、歯ごたえはアジに近いといえるかもしれません。小さいのでご家庭でさばくのも比較的簡単です。夏場のマサバ0歳魚は、刺身だけ食べればサバとは思えないけど大変美味という、鮮度の良いものさえ手に入るならぜひぜひお勧めしたい、意表を突く逸品なのです。
マイワシにマサバ、それにカタクチイワシももちろんおいしい魚です。夏の伊勢湾の魚たち、もっともっと人気が出て、多くの食卓に上っても良いだけの力を持っています。ただし、時節柄、鮮度が落ちやすいので、購入されたらできるだけ速やかに召し上がっていただくのが、美味しくいただくポイントです。
(2014年8月22日掲載 鈴鹿水産研究室、企画・資源利用研究課)
船びき網漁業(水産資源課へのリンク)