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伊勢志摩サミット三重県民会議

伝統・文化

三重の食~伝統と革新~
「御食つ国」(みけつくに)、「美し国」(うましくに)と言われる海の幸、山の幸、自慢の食材

三重は、日本はもちろん、世界からも認められる食材の宝庫。なかでも志摩は、万葉集のなかで「御食つ国(みけつくに) 志摩の海女ならし 真熊野(まくまの) 小舟に乗りて 沖つ漕ぐ見ゆ」(大伴家持、巻6-1033)と詠まれ、朝廷や伊勢神宮に海の幸を献上する「御食つ国」とされてきました。ここではたくさんの三重の恵みのなかから、ほんの一部をご紹介します。

松阪牛

1935年に「全国肉用牛畜産博覧会」で最高の名誉を獲得し、日本一の肉牛として知られるようになった「松阪牛」。甘みのあるサシ(脂)が適度に入った美しい霜降り肉は「肉の芸術品」として賞賛を浴びています。

あわび

鳥羽・志摩地方の岩礁域はあわびの好漁場。2000年以上前から海女漁が行われており、鳥羽市国崎(くざき)のあわびは伊勢神宮へ献上される縁起物としても知られています。新鮮なあわびを頂くなら、海女さんたちの休憩所「海女小屋」へ。炭火で豪快に炙ったあわびにかじりつけば肉汁が溢れ出し、至福の時を味わえます。

伊勢海老

伊勢湾の豊かな環境と栄養豊富な黒潮により、立派に育つ伊勢海老。噛むほどに甘みが広がるぷりぷりの身は、刺身はもちろん、焼いても煮ても絶品です。伊勢海老の品質は、漁獲した海老を一尾一尾網から外したり、産卵期を禁漁とするなど、漁場を守るためのさまざまな努力によって支えられています。

三重県はコシヒカリの産地。三重県産のコシヒカリは「三重コシ」として親しまれています。なかでも、土壌条件や気候に恵まれた伊賀地域のコシヒカリ「伊賀米」は高い評価を受けています。また、近年プレミアムブランド米として生産販売を始めた「結びの神」は、県で育成された品種「三重23号」のなかから厳選された逸品。米粒がしっかりとしていて、炊き上がりがふっくらと美しく、噛みしめるほどに甘みが広がります。

南紀みかん

黒潮の影響で年間を通して温暖なこの地域は「一年中みかんがとれる地域」として知られています。古くから野生のみかんがあったこの地域で育つ柑橘類は、甘みと酸味のバランスが絶妙。そのままで味わうのはもちろん、ジュースにしても美味しいみかんです。

日本酒

日本酒は米を発酵させてつくった醸造酒です。現在、三重県には35の蔵元があり、「全国新酒鑑評会」をはじめとするコンテストで好成績を収め、三重の酒の美味しさが注目を浴びています。三重の酒の美味しい理由は三重の「豊かな食文化」「気候風土」「清浄な湧水」「米」にあり、それらをもとに各蔵元では高品質でさまざまな料理に合う日本酒を醸しています。

あおさのり

栄養豊かな河川水と黒潮由来の温暖な海水が混ざり合う伊勢湾口から熊野灘で養殖が盛んに行われており、三重県は全国一のあおさのりの生産量を誇ります。また、あおさのりの養殖風景は、海面いっぱいに緑色が広がり、志摩地域の冬の風物詩となっています。波の穏やかな内湾で手間をかけて育てられるあおさのりは、深い緑色となり、心地よい歯ごたえと豊かな磯の香りを楽しむことができます。

伊勢ひじき

国内シェアの7割を占め、日本一の出荷量を誇る「伊勢ひじき」。伊勢湾の遠浅の岩場で荒波にもまれて育った伊勢ひじきは長く、太く、磯の風味豊か。採れたてのひじきを風に当てて干し、水で戻し、高温の蒸気で蒸してから乾燥させる伝統的な製法により、歯ごたえよく仕上げている。独特のもっちりとした食感は一度味わうとやみつきに。

伊勢茶

全国第3位の生産量を誇る「伊勢茶」。香り豊かで甘みと渋みのバランスがよく、茶品評会での受賞歴も多数。一般的な煎茶だけでなく、一定期間日光を当てずに新芽を育てることで旨味を増す「かぶせ茶」や、 じっくりと茶葉を蒸し、まろやかな味を引き出す「深蒸し煎茶」など、各地で特色のあるお茶づくりを行っている。

あのりふぐ

志摩半島の安乗(あのり)漁港を中心とした沿岸地域で漁獲される、体重700g以上の天然トラフグ「あのりふく」。その迫力ある姿形とは裏腹に、引き締まった身はほんのり桜色、繊細な甘みを持つ。秋から冬にかけて旬を迎えると、産地の旅館や料理店では、てっさ(刺身)、てっちり(鍋)など、あのりふぐのフルコースを堪能できる。

熊野地鶏

三重県原産のシャモ「八木戸」と銘柄鶏「伊勢赤どり」に「名古屋コーチン」を掛け合わせた「熊野地鶏」。熊野地域で栽培されている飼料用のお米や柑橘、世界遺産「熊野古道」の清らかな谷水などを与え、広々とした鶏舎でのびのびと育てられている。ほどよい歯ごたえ、濃厚な旨味を持つ赤身肉は、国内外の一流シェフからも高く評価されている。

伊賀牛

鮮やかな肉色、芳醇な香りとコク、とろけるような柔らかさで、ブランド牛として名高い「伊賀牛」。その歴史は古く、鎌倉時代末期の書物に紹介されているほか、忍者がスタミナ食として伊賀牛の干肉を携帯していたとも伝えられている。畜産農家の庭先で牛を一頭買いする伝統的な取引が大切に受け継がれているのも特徴。

真鯛

魚の王様と称される真鯛は、古くから結婚式や子供の成長祝いなどハレの席には欠かせない縁起物として重宝されてきました。真鯛は一年中漁獲されますが、産卵期を迎える春は栄養を体に蓄えるため、最も脂がのり、特においしいと言われています。三重では天然の真鯛は熊野灘を中心に水揚げされ、中でも伊勢湾口で、一本釣りされる真鯛は、速い潮流に揉まれ、引き締まった身質となっています。また、三重では養殖も盛んで、近年養殖技術が進歩して、天然魚に匹敵する身質や体色の真鯛を生産できるようになっています。

牡蠣

伊勢湾から熊野灘にかけて養殖されている「牡蠣」は、栄養豊富な環境のおかげで他産地よりも1年早く成長するため、身はふっくらと柔らかく、クセがなく甘みたっぷり。出荷前に一つ一つ籠に入れて育てることで身入りをよくし、生食用は、安心して食べられるように紫外線殺菌した海水で浄化するなど、様々な工夫を施している。的矢かき、浦村かき、渡利かきが有名。

岩がき

岩がきは、春から夏にかけて句を迎えるため「夏がき」とも呼ばれ、秋冬が旬の「真がき」と比べて身が大きく、コク深いのが特徴。冷やした岩がきにレモンを絞り、つるんとすすれば、磯の香りとクリーミーな味わいが口いっぱいに広がる。

まぐろ

主に遠洋まぐろ漁業ではメバチマグロが、近海まぐろ漁業ではビンナガマグロが、そして国内の最北東に位置する養殖漁場では養殖クロマグロとさまざまなまぐろが三重では水揚げされています。これらの生産者は、それぞれに鮮度保持や品質管理の技術にこだわりを持って取り組んでいるため、身質の良いまぐろとなっています。
三重県情報誌「和 ~THE SPIRIT OF WA~」より転載