尾鷲水産研究室 トップページ
研究室について
・尾鷲水産研究室は、魚類養殖技術の開発、人工種苗(稚魚)生産技術の開発、魚病の診断、魚病の予防・治療対策指導を行う県の水産研究機関です。
・尾鷲市天満浦古里には本館・飼育棟・調査船、尾鷲市古江町には種苗生産研究施設(尾鷲栽培漁業センター内)、尾鷲湾には試験魚飼育イカダを有しています。
| 研究室本館 (天満浦古里) |
調査船・桟橋 (天満浦古里) |
種苗生産研究施設 (古江町) |
飼育イカダ (尾鷲湾) |
・研究室本館へのアクセスはこちら。研究室のある天満浦は、ミカン畑が広がりカンナが咲く美しい港町です。
メニュー
| 〇沿革 | 〇三重県の魚類養殖 | 〇養殖・種苗生産技術開発に取り組んだ魚種 |
| 〇飼料や給餌方法の開発 | 〇魚病防除に向けた研究・指導 | 〇気候変動への適応 |
沿革
1928(昭和3)年12月:三重県議会が「外海分場」の開設を承認
1932(昭和7)年3月:開設に先立ち調査船「神路丸」進水(帆船11.8トン、補助動力:重油発動機20馬力)
1933(昭和8)年8月:「三重県水産試験場 尾鷲支場」北牟婁郡尾鷲町南浦名月セギノ山(現在の尾鷲市林町ハローワーク尾鷲付近)に開設。水産試験場本場(志摩郡浜島町)、川越支場に続く県内3番目の水産研究機関。地元が建設費の8割を寄付した
⇒当時のパンフレットはこちら。業務は定置網漁業の研究指導、珊瑚・底延縄漁業試験、加工品製造など
1944(昭和19)年3月:本場(志摩郡浜島町)が日本海軍の航空隊基地として接収され、尾鷲支場に本場機能を移転。「三重県水産試験場」となる
1944(昭和19)年12月:東南海地震の津波(波高5.6m)で多くの施設が水没し甚大な被害
1946(昭和21)年2月:終戦に伴い本場が志摩に復帰。「三重県水産試験場 尾鷲支場」の再開
1949(昭和24)年10月:調査船「神路丸」更新(25.6トン、ディーゼル機関75馬力)
1952(昭和27)年10月:調査船「潮風」新造(1.1トン、焼玉5馬力)
1953(昭和28)年11月:「水産試験場 尾鷲分場」に改称
⇒この頃、北牟婁郡海山町(現紀北町)小山浦に定置網の試験漁場を設置。左はその図面。1970年頃まで網型や魚群行動等の調査に使用。写真は当時の大型定置網漁(大敷網)の様子
1958(昭和33)年7月:尾鷲湾で小割イケスによるブリ養殖試験開始
⇒熊野灘における魚類養殖の始まり。技術普及を進め、1968年には本県の養殖ブリ生産量が全国1位に
(左は小割イケスの設計図。写真は当時の魚類養殖の様子)
1959(昭和34)年9月:伊勢湾台風による風雨で被災。1960年5月にはチリ沖地震津波(波高3.6m)で被災
1967(昭和42)年8月: 「三重県尾鷲水産試験場」に改称。浜島、伊勢湾、内水面、尾鷲の4水試体制となる
1968(昭和43)年3月: 調査船初代「灘風」新造(3.7トン)
1970(昭和45)年11月:マダイ養殖試験開始
⇒1975年には本県マダイ生産量が全国1位に。しかしながら70年代後半になると瀬戸内海など広大な静穏域を有する四国や九州で生産量が急増し、適地の少ない本県の順位は低下
1973(昭和48)年4月:魚類種苗生産研究施設を水質良好な尾鷲市元須賀利に設置
⇒1984年3月に閉鎖されるまでにマダイやカサゴなどの種苗量産技術を確立。後年の三重県水産事業団による放流用種苗の生産にその技術が活かされる
1979(昭和54)年4月:漁場環境対策としてモイストペレットの実用化試験開始
⇒海を汚しやすい生餌による漁場汚染を防ぐため、環境負荷の少ない飼料の普及を進める
1982(昭和57)年3月:老朽化や前面海岸の埋立に伴い、尾鷲水産試験場を尾鷲市天満浦古里へ新築移転
1984(昭和59)年4月:「三重県水産技術センター 尾鷲分場」に改称
⇒定置網分野等を本場に集約。尾鷲分場は魚類養殖・種苗生産、魚病分野に特化
1986(昭和61)年2月:調査船「灘風」更新(1.5トン、ディーゼル機関35馬力、二代目灘風)
1996(平成8)年4月:マハタ種苗生産試験を開始
⇒1999年にマハタ種苗生産成功、その後量産化が進み現在の本県マハタ種苗生産尾数は全国1位
1998(平成10)年4月:「三重県科学技術振興センター 水産技術センター 尾鷲分場」に改称
⇒県の試験研究機関が科学技術振興センターに統合
2001(平成13)年4月:「三重県科学技術振興センター 水産研究部 尾鷲水産研究室」に改称
2002(平成14)年2月:調査船「灘風」更新(1.7トン、ディーゼル機関25馬力、三代目灘風)
2004(平成16)年3月:種苗生産研究施設(通称ハタ研)を尾鷲市古江町に開設
2008(平成20)年4月:科学技術振興センターが廃止され「三重県水産研究所 尾鷲水産研究室」に改称
2011(平成23)年4月:三重県漁業協同組合連合会と連携してブランド魚「伊勢まだい」の開発開始
⇒徐々に出荷数量が増え近年は60万尾を出荷。中央写真は餌に添加する茶葉・柑橘・海藻の粉末
2017(平成29)年8月:黒潮大蛇行が始まり養殖漁場の高水温化が加速
⇒2025(令和7)年4月に終息。継続期間は史上最長の7年9カ月
・魚類養殖・種苗生産の研究の歴史
三重県の魚類養殖の概要
魚類養殖は最も生産額が大きい水産養殖
・1958(昭和33)年、当室が尾鷲湾で小割イケスを用いたブリの長期飼育に取り組んだことが、熊野灘での魚類養殖の始まりです。講習会や現地指導などで技術普及を進めたこともあり、魚類養殖は三重県南部における重要産業に発展しました。
・養殖魚種としてはマダイを筆頭に、ブリ、クロマグロの3種で生産量の9割以上(上・右図)。マダイ生産量は全国4位、マハタ生産量は全国1位。
| 海面生産量(漁獲量、養殖生産量)と水温 | 養殖生産量(三重)の推移 (H25を100%) |
養殖生産額(三重)の推移 (H25 を100%) |
| マダイ単価と魚粉(餌原料)価格 | 魚病被害額(三重)と水温 |
魚類養殖の課題
・今後も魚類養殖を持続的に発展させるためには、収益性の強化が重要な課題となっています。・なかでも本県の主力養殖魚種であるマダイでは、単価が低迷する一方、コストの6割を占める飼料費が増大し、養殖経営が圧迫されています(上・左図)。このため、市場価格の高い新魚種やブランド魚の開発、飼料費の削減に資する養殖手法や代替飼料の開発が必要です。
・さらに近年では、水温上昇に伴う飼育ストレスにより魚病被害額が増加しています(上・右図)。このため、魚病対策を強化し、気候変動への適応を進める必要があります。
これまでに養殖技術や種苗生産技術の開発に取り組んだ魚種
| ブリ | マダイ | ヒラメ | カサゴ |
| サツキマス | クロマグロ | クエ | マハタ |
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| ウマヅラハギ | カワハギ | マサバ | イカナゴ |
まぼろしの魚「マハタ」を育てる
・尾鷲水産研究室では、市場価値の高い養殖魚種の開発に向け、種苗生産が困難で「幻の高級魚」と呼ばれるマハタとクエの種苗生産試験に取り組んできました。
・平成8年度から性転換・成熟促進・採卵技術・飼育技術の開発を進め、平成10年度にはクエの種苗量産化、平成11年度にはマハタの種苗量産化に成功。
・平成13年には、体重1kgに育てたマハタを試験出荷をしたところ、マダイの2倍以上となる1,600円~2,200円/㎏の値段が付き、市場価値の高さを実証。
・県レベルでのマハタ種苗供給は全国初。生産技術は尾鷲栽培漁業センター(三重県水産振興事業団)に移転し、県内養殖業者向けに年15万尾程度(全国最多)が有償配布され、熊野灘の新しい特産品に育ちつつあります。
・マハタの生残向上など、魚類養殖の競争力強化に向けた取り組みを進めています。
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| 変態魚 日令30,14㎜ | 稚魚 日令85,5㎝ | 出荷魚 1.9年,40㎝,1㎏ |
・まぼろしの魚(クエ・マハタ)を育てる(スライドショー)
・クエにつづきマハタの種苗生産にも成功(PDF)
・クエ・マハタ種苗量産技術確立事業フロー図(PDF)
・クエの種苗生産技術の開発(PDF)
・マハタの種苗生産技術の開発(PDF)
・クエ×マハタ交雑種の種苗生産
様々な新魚種養殖に向けて
・カワハギの養殖技術の開発・トラウトサーモンの養殖技術の開発
・ウマヅラハギの養殖技術の開発
・マサバの海面養殖技術の開発
コスト低減・付加価値向上に向けた飼料や給餌方法の開発
・魚類養殖業の生産コストのうち、飼料費が6割を占めています。近年、配合飼料の原料となる輸入魚粉価格が、カタクチイワシの減少や円安の長期化などで上昇し、養殖経営を圧迫する大きな要因となっています。
・このため尾鷲水産研究室では、高価な魚粉を削減した飼料の開発や、県産柑橘等を飼料に加え養殖したブランドマダイの開発など、コスト削減や付加価値向上に資する研究開発を進めています。
| ブランドマダイの開発 | 「伊勢まだい」の脂質含量 | 「伊勢まだい」の歯ごたえ |
・米糠(こめぬか)を配合した低魚粉飼料の開発
・養殖マダイの飼コスト削減対策…モイストペレットの活用
魚病防除に向けた研究や指導
・ヒトや家畜と同様に、魚も病気にかかることがあります。近年は高水温化によるストレスなどで魚病被害が増大しています。このため尾鷲水産研究室では、養殖業者から持ち込まれた病魚を診断し、年間200件以上の治療対策指導を行っています。
・病気には予防が肝心であることから、ワクチンの指導や、免疫力を高めるための飼育管理手法の開発など、病気の発生予防に向けた研究や指導を行っています。
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| 魚病診断(解剖) | ワクチン開発 (マハタのウイルス病) |
ワクチンの接種 |
・マハタのウイルス性神経壊死症に対するワクチンの有効性
・数種の海産種苗のマハタ由来神経壊死症ウイルスに対する感受性
・マダイイリドウイルス病に対する絶食の有効性
・マダイイリドウイルス病に対する低密度飼育の有効性
・育成期におけるマハタのウイルス性神経壊死症の病理組織学的研究
気候変動への適応に向けて
・近年、三重県沿岸においても水温の上昇傾向が顕著です。水温ストレスは養殖魚の生理状態や魚病の発生に大きな影響を及ぼすことから、養殖管理手法を見直す必要があります。
・水温の低い深場での養殖や、品種改良など、気候変動に適応できる養殖手法の開発を進めています。
| 海面生産量と水温の推移 (長期間) |
深場での飼育を可能にする浮沈式イカダ | ホースを用いて深場に餌を供給 |
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